ラブで抱きしめよう

10−2☆ 迷い

   
「ふ、藤田くん……」

声をかけられて、オレはハっとした。
オレは暫く呆然と堀内を見てたみたいだ。
堀内が近付いてくる。
ソファーに座っているオレは、後ずさることもできなくて固まったままだ。

「………」
堀内に隣にちょこんと座られる。
「……………」
オレは変な汗をかいて、何も言えなくなる。
堀内の方も見ることができない。

思えばオレの経験は、涼子ちゃんだけだ。
最初から、涼子ちゃんがオレをリードしてくれて、それで今日まで来たって感じだった。
こんなガチガチの女の子に、勿論手なんて出した事がない。

「なぁ、堀内……」
オレは堀内の方へ顔を向けた。

オレは息を呑んでしまう。

堀内が緊張してるのは分かった。
だけどそれ以上に、オレの事が好きっていうのも分かってしまう。

細い肩は真っ白で、強く握ったら壊れそうに見える。
肩にかかる髪が、少し濡れていた。
閉じている両足が、いやでも目に入ってしまう。
バスタオル、1枚なんだよなって思うと……
 

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