意地悪な彼はホンモノじゃない

23 雨の朝(1)

   

11月の雨の音がバラバラと街を打ちつけ、朝の通勤時間帯の人々のざわめきを消す。
つばさの吐く息が、白く広がった。

「すごい雨になってきちゃった」
待ち合わせた改札口で、駅の外、ロータリーに叩きつける雨を2人で見ていた。
「家を出た時は、まだこんなじゃなかったのにな」
歩いて駅へ向かううち、あっという間に雨の勢いが増してしまった。
「今日、テーマパーク行くのやめようか?」
つばさの顔を覗き込みながら冬唯は言った。
「なんかアトラクションも通常営業じゃないんじゃない?」
「そうだね…」
今日行っても、楽しめそうもなかった。
楽しみにしていたので、つばさは少しガッカリする。
天気予報を見て昨日から心配していたのだが、まさかここまで降るとは思っていなかった。
天気が悪い方がすいているかなぐらいに、つばさは思っていた。
待ち合わせを早い時間にしたので、まだ朝の8時だ。
平日の朝の駅は急ぐ人で溢れていて、この雨に皆、憂鬱な表情だ。

「オレんち行く?」
「え?」
「寒いし…、朝早いからまだどこも開いてないし。とりあえず、一旦様子みようよ。それで今日どうするかゆっくり考えよ」
「うん…」


足元がビチョビチョで、ロングスカートを履いてきたのは大失敗だったなとつばさは思った。
つばさの最寄駅から冬唯の駅までは電車に乗ってすぐだ。
少し距離のある冬唯の家まで歩いているうちに、さらに足はぐしょ濡れになってしまう。
「タオル持って来るから待ってて」
そういう冬唯も、玄関で靴下を脱いだ。
広い玄関で待っている間、つばさは自分もタイツを脱がなきゃ入れないなと思う。

「うち、乾燥機で靴乾燥できるから、つばさの貸して。ついでに脱いだ靴下ももらうよ」
「ありがと…」
少し恥ずかしかったが、素直にタイツも冬唯に渡した。
「部屋で待っててくれる?すげー散らかってるけど」
冬唯に色々してもらっている間、つばさは冬唯の部屋へ行った。
一度来ているので、もちろん部屋の場所は分かる。


(久しぶり…冬唯くんの部屋)

部屋は暖かくて、散らかっていると言っていたのに、つばさの部屋より片付いている。
かすかにつばさとお揃いの香水の匂いがした。
最近は一緒にいる時も、どっちの匂いがしているのか分からなくなっていた。
そんな事も嬉しいと、つばさは思う。

ベッドは冬唯が起きたままの状態だった。
冬唯のベッドを見ると、つばさはあの日の事を思い出してしまう。
(ここで…)
「上着、かけるよ」
冬唯が部屋に入ってくる。

「ありがと…」
「服、ビッショビショになっちゃったな」
受け取ったつばさのジャンバーをタオルで拭きながら、冬唯はハンガーにかける。
下で脱いでいた自分のコートも、別のハンガーにかけた。
「スカート可愛いのに、濡れちゃったね」
すっかり裾の濡れたつばさのスカートを見て、冬唯は言った。
「うん………」
冬唯の部屋に入ったもののスカートまでグショグショで、つばさはどうしていいのか戸惑う。

「つばさが、オレの部屋で何考えてたか当ててやろうか」
「えぇっ……」

つばさはみるみる赤面してしまう。
「あ、当たっちゃうから…言わないでよ」
「ははは」
冬唯は笑った。
普通にしようとしていたが、本当は彼も緊張していた。
「オレのズボンも、裾ビショビショになっちゃった」
「ホントだ」
彼のズボンも下の方が濡れて色が変わっていた。

冬唯はエアコンのスイッチを入れる。
そのままつばさに近づいた。

「スカート、脱ぎなよ」

「えっ…」
「掛けるから」
「…………」
タイツをさっき脱いでいるので、スカートを脱いだらそのままパンツに生足になってしまう。
「…………」
つばさが何もできずにいると、冬唯がつばさのセーターに手をかける。
「え?」
「どうせ全部脱いじゃうんだから」
そしてつばさに軽くキスした。

(全部、脱ぐ?!…や、やっぱりそういう流れに…)
テーマパークへ行くつもりだったので、全く心の準備をしてこなかったつばさは焦る。
ここに来たという事は、そうなっても全然おかしい事じゃないのは分かっていた。
こんなに服が濡れてしまって、このままでいられないのも分かっていた。
(こ、ここ、心の準備が…)
脱がされると思うと、急に恥ずかしくなってくる。
「あ、あたし…、今日寒いと思ったから、め、めちゃめちゃオバシャツ着てきちゃったし」
噛みながら、つばさはそう言った。

「いいよ、どうせそれも全部脱がすから」
「ええ……」

つばさが戸惑っているうちに、冬唯はつばさのセーターもシャツもどんどん脱がしていく。
冬唯はそのままつばさをベッドに連れて行くとロングスカートも脱がせて、それを丁寧にハンガーにかける。

(え、えっ…)
つばさはあっという間にブラとパンツだけの姿にされてしまう。

「と、冬唯くんっ……」
「うん」
頷くと、冬唯もTシャツを脱いで、トランクスだけの姿になる。
「あのっ、全然っ、今日こうなると思ってなくて…」
ブラとパンツが揃っていない事が、今更ながらに気になってしまう。
「い、色んな準備が…」
(でも朝、シャワーを浴びてきて良かった…)
(でもムダ毛処理とか、適当な気がする…!)
(ひざ下とか、カサカサだと思う…!)
下着だけになったこの状況で、つばさの頭の中で色々な事がグルグル回る。
そしてそれ以上に、目の前の冬唯の裸の上半身が生々しくて、一気にドキドキがマックスに達してしまう。

「いいよ、準備なんて」
「でも……下着も全然可愛くないし」
「ううん、つばさ、すごい可愛い」
蒸気した冬唯の表情に、つばさは本当に恥ずかしくなってくる。
「やだ、見ちゃ…」
「見るよ」
冬唯はつばさの体へ視線を移す。
「この前、全然見れなかったし」
足をギュっと合わせて、胸を隠そうと腕を曲げているつばさの姿を、冬唯はじっと見た。
「は、恥ずかしいよっ…」

顔を真っ赤にして涙目になっているつばさを見て、冬唯は興奮してくる。
(ほんっと、いちいちツボに、可愛いんだよな…)
冬唯はつばさにキスした。

今朝家を出る時、冬唯はつばさにこうする事を実は考えていた。
雨は酷くなりそうだったし、こんな天気の日にテーマパークへ行っても残念な思いをするだけだったのは分かっていた。
傘を持って列に並ぶのも嫌だった。
つばさと会ったら、絶対に部屋に誘うつもりでいたのだ。
先日の課外授業の件もあって、余計に彼女を抱きたくてもう限界に来ていた。

―― これからそうなる前の、キス。
そうなる事が分かっているから、冬唯は余計につばさの舌や口の中の感触がいやらしく感じられる。

(つばさの口の中…、あったかい…)
(ああ、冬唯くんの、舌が……)
冬唯の舌が、つばさの舌を強く押す。
つばさは、大きく口を開けさせられてしまう。

ゴクン………

つばさは喉を鳴らして、飲み込めるくらいの量の唾液を飲んだ。
彼の唾液が、自分の口に入って来ているのが分かる。
彼も興奮していて、そして自分も興奮していて、お互いに沢山涎が出ていた。
それが下にいるつばさの喉へと流れ、溜まっていく。
ゴクンと、またそれをつばさは飲んでしまう。
「ん…、んんっ…」
普通に考えたら絶対にしたくないような事なのに、冬唯だと思うと汚いと思わなかった。
それどころか、つばさはもっと興奮してしまう。

「はぁ、はぁっ……」
つばさの息が既に上がってくる。
冬唯の唇が首筋に触れた。
(あ、くすぐったい……)
彼の手が、つばさの背中に回る。
「あっ…」
ブラジャーを外された。

「恥ずかしいよぅ…、冬唯くんっ…」
つばさは思わず胸と顔を隠してしまう。
部屋は電気がついたままで、明るかった。
「電気、消す?」
「………」
つばさは頷いた。

冬唯は電気を消すために立ち上がる。
自分自身のものが、もう既に勃起していた。
つばさはショーツ1枚をつけただけの姿で、白い肌を冬唯のベッドの上に横たえている。
(ヤバいだろ、この姿……)
冬唯もつばさの裸を見て、思わず喉を鳴らしてしまう。
これからこの彼女の体に触れる事ができると思うだけで、もうすぐにでも射精してしまいそうだ。
電気を消すと、外も暗いので部屋はだいぶ暗くなる。
それでも夜ではないので、つばさの姿はハッキリと目視できる。

冬唯はつばさの手首を握る。
顔と胸を隠しているその腕を、つばさの体の横へゆっくりと広げて行く。
「恥ずかし過ぎる……」
つばさは顔を横にそらした。
裸の乳房で恥ずかしがるつばさの姿が、冬唯の体の下にあった。
あの時は脱がさなかったので、冬唯はつばさの体を全く見なかった。
初めて見る彼女の全てに、冬唯は感動と興奮を覚える。

(あぁ………)
冬唯はつばさの乳房にキスをして、両手でそこに触れた。

「あっ……」
つばさから声が漏れる。
恥ずかしくて、グーにした手をつばさは噛む。

(めっちゃ柔らかい……)
つばさの触り心地の良い肌が、一番柔らかいその場所。
冬唯は舌で少し乳首に触れると、すぐにそこを口に含んだ。
「あっ………、はぁっ……」
控えめに出てくるつばさの声が、冬唯を余計に興奮させる。
口の中にあるつばさの小さい乳首の固さを、舌で感じた。

(あー、すげー……)

冬唯は初めてした日よりもずっと冷静だった。
あの時は夢中で、完全に頭に血が上っていたと思う。
今日だってものすごく興奮していたが、つばさの感触を確かめる余裕はあった。
(今日は、絶対つばさを気持ち良くさせる……)
冬唯はその事を何度も自分に言い聞かせた。
そうしないと、つばさの感触で、我を忘れそうになってしまう。
手の中の乳房の柔らかさと、口の中にある乳首の固さが対照的で、思わず夢中になってしまう。

「ん……、あっ……」

つばさを見ると、目を閉じてギュっと眉をしかめていた。
彼女の初めてを奪った時の、その時の表情と重なる。
その罪悪感が、冬唯が自分自身でも認めたくない、つばさへの支配欲を刺激する。
「可愛い……つばさ……」
口を押えている手を取って、冬唯はつばさにキスした。
右手で彼女の乳房を触り、指先で乳首をつまんだ。
キスしているつばさの体が、ビクンと一瞬跳ねる。
さらに乳首の先を擦ると、冬唯の体の下でつばさの腰がモジモジと動く。

(嫌がって、ないよな……)
つばさの反応を確認しながら、冬唯は体を下げて行く。
彼女のショーツを脱がせた。

(ああっ……パンツまで……)
全裸にされてしまい、つばさは恥ずかしくてたまらなかった。
洋服を着たままだった前回とは、今回は全く違う。
裸になるという事は、すごい事だと実感する。

(冬唯くんの前で、裸………)

考えると泣きそうで、逃げたくなる。
これからするであろう行為以上に、裸をさらしている事の方がずっと恥ずかしいと思う。
つばさは目を閉じるしかなかった。
彼の手が、つばさの太腿を触り、足を開いていく。
つばさは抗いもせず、促されるまま従う。
「あぁんっ……!」
冬唯の指がそこに触れた。


(ここも柔らかいな……)
冬唯はつばさの襞を割って、指を亀裂にそってゆっくりと上から下へなぞった。
深いところに入って行くと、そこはもう濡れていた。
ちゃんと濡れているのが確認できると、冬唯はほっとする。
それと同時に、また肉体的にも精神的にも昂ってくる。

指先ですくった液体を、逆に下の方から上へと滑らせていく。
「あぁっ!」
上の方の膨らみに触れると、つばさが声を出した。
冬唯はまた深い場所からすくった液を、つばさの突起の方へと指で運ぶ。
ゆっくりとできるだけ優しく、隙間に沿って何往復もさせると、その場所はもう冬唯の指先をヌルヌルと滑らせるほど、彼女の愛液で溢れた。

(あ……あ……気持ち、いい……)
冬唯の指が優しくそこを滑る度、とろけそうな感じがつばさのそこから全身へ伝わっていく。
「う……、うぅんっ…」
声を出すのが恥ずかしくて、つばさは懸命に我慢した。
我慢しようとすると、余計に感覚が澄んでしまう。
(ああ……、ああ…)
つばさは固く目を閉じていたので、冬唯の唇がお腹へと移っている事にも気付かなかった。

「あっ!!」
指とは違う感触が、つばさのそこに触れた。
思わず目を開けると、自分の開いた足の間に冬唯の髪が見える。

「やっ……!冬唯くんっ……!」

視線を上げた冬唯と、つばさは思いきり目があってしまう。
「そ、そんなとこ…、舐めちゃっダメっ……!」
「…………」
つばさの言葉を無視して、冬唯はその行為を続けた。
冬唯の舌が、やけに鮮やかなピンク色に感じられて、つばさにハッキリ見えた。
自分のその場所を舐める冬唯の姿を、見てしまった。
(やだ、恥ずかし過ぎる………!!)
つばさは思わず体をよじった。
そのありえないビジュアルと、そこから伝わる未知の間隔に、つばさは涙が出そうだった。

冬唯は動くつばさの太腿の下に手を回し、しっかり両手で腿を掴んだ。
舌でその部分を、先程指でしたように上下に舐める。

「あっ、あぁっ……」

耐えきれず漏れてくるつばさの声に、冬唯は興奮した。
つばさの性器は小さくて、冬唯が口を開くと膣からクリトリスまで届く。
冬唯はつばさの性器全体にキスして、そして吸った。



(やっ、あっ、あぁっ……)

つばさはもう何も考えられなかった。
こんな感触をそこに感じるのは初めてで、それが快感なのか分からないぐらい、強い感覚だった。

(ダメ……あぁっ……、何……これ……)
冬唯がつばさのそこを吸う度に、ビクビクと体が跳ねた。


 
 

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