意地悪な彼はホンモノじゃない

25 雨の朝(3)

   

濡れた柔らかい肉の間に、冬唯は指を滑らせる。
指を離したり付けたりすると、そこはクチャクチャと音を立てた。

「ね、ここに、入れていい……?」
つばさの耳元で冬唯は言いながら、その敏感な部分へ、浅く指を出し入れする。
「あぁっ……」
つばさは声が漏れてしまう。
「うん……」
そして小さく頷く。
ずっと握っていた冬唯のそれから、つばさも手を離した。


「ちょっと待ってね」
冬唯はベッドのすぐ隣、机の上に置いたままのコンドームの箱を取った。
中身を破って、ふとつばさに目をやると自分を見ているつばさと目が合う。

「つけてみる?」
「えっ?」
「オレ、先持ってるから、クルクルって」
冬唯は自分の先にゴムを当てた。

彼が待っているので、つばさは手をのばした。
(うわ、なんかすごいビジュアルだよ〜。それにやっぱり、大きいよ……)
さっきまで触っていたのだが、ほとんど見ていなかった。
つばさは男性器をこうして触るのも見るのも今日が初めてで、興味はあったが実際に目の前にあると、少し怖くなってしまう。
「こんな大きいの、入らないよ……」
「大丈夫、さっきも入ってたから」
冬唯は笑ってつばさの髪を撫でた。
彼に促されて、つばさは冬唯の性器に当てられたゴムを、下に伸ばしていく。
「コンドームって、こうやって着けるんだ……」
(なんか、こんな風にしてるなんて、……恥ずかしい)
全裸の冬唯を目の前にして、自分も裸だった。
こんな風に普通に会話している事自体、全然普通じゃない。

「つばさ、着けるの上手だね」
「そ、そんな事ないよ……」
「さっきオレ緊張して、最初全然うまく着けらんなかったから」
「そうなの……?冬唯くんも、緊張するの?」
女の子に慣れていると思っていたので、冬唯がそう言うのは意外だった。
「するよ、結構オレ、つばさの前で緊張する事多いかも」
そして冬唯はつばさにキスすると、つばさの足の間に体を入れた。

「ここ、持って」
冬唯はつばさの両足を持ち上げると、つばさに彼女の膝の裏を持たせた。
「え、え……」
自分から足を広げるその格好に、つばさは恥ずかしくなってしまう。
「もうちょっと、自分の方に抱えて」
冬唯はそう言うが、つばさは恥ずかしくてたまらない。
「え、や、えっと……」
「ちゃんとつばさに入るから、見てて」

(ええ、やぁっ……)
冬唯がつばさの足を押し広げて、さらに足が開いてしまう。
お尻が少し浮いて、自分の体毛が見えてしまう。
(やだ、ホントにすごい恥ずかしいよ……)
今つばさが避妊具をつけた冬唯のものが、自分の性器に当てられる。
そしてそれが、ゆっくりと入っていく。
(ああ……)
その様子を、つばさは見てしまった。

「やっ、……恥ずかしいよ……冬唯くんっ…」
「んん………はぁっ…はぁっ…」

冬唯もまた、つばさと繋がっていくその部分を見て興奮していた。
(ヤバい、これ、すごいエロい…)
視線をつばさに向けると、恥ずかしそうに目をそらすつばさの顔が見える。
(つばさに、オレのが入ってる……)
自分で足を抱えたつばさの格好も、すごくいやらしいと冬唯は思った。

「あぁ…はぁ、はぁ………」
挿入しただけで、冬唯も息が上がってくる。
つばさに入るのは、ものすごく気持ちが良かった。
彼女に入っていると思うだけでも、興奮して、昂りが止まらない。

(ああ、すごい、何か全部いい……)

冬唯はつばさの両足首を持った。
足を持っていたつばさの手も離れて、両手で枕を掴む。


「あぁっ、あんっ………あ、あんっ…」
つばさの泣きそうな声が、冬唯の脳まで刺激するようだった。
冬唯が動くのに合わせ、その切ない声がつばさの口から漏れる。

彼女の足を広げたまま、動く度につばさの性器に出たり入ったりする自分のものを、冬唯は見た。
その視覚的な刺激で、冬唯はもっと感じてしまう。
(ヤバい、つばさ、すごい気持ちいい……)
「はぁっ、あ……、あ……」
つばさの足を離して、冬唯は彼女へと覆いかぶさった。

「つばさ、………気持ち、良すぎ……」
一旦動きを止め、つばさを抱きしめる。
「はぁっ……、冬唯くんも、気持いいの……?」
薄く目を開けたつばさと目が合い、冬唯は頬にキスした。
「うん、……つばさの中、すごい気持いいよ…」
「う……嬉しい……」
つばさも冬唯にギュっと抱きついた。
そして唇がまた重なる。

「んっ……、うぅっ……」

キスしたまま、冬唯は動いた。
つばさと自分から漏れる息と声。
それを噛むように、冬唯はつばさへとまたキスする。
「あぁっ……つばさっ……、今日、いっぱいしよ」
「はぁっ、あっ、……あぁっ」
冬唯の動きでいっぱいいっぱいのつばさは、頷く事ができない。
冬唯は無意識に、つばさの乳房を両手で掴んだ。
「あー、もう、はぁっ……ずっとこうしたい……」
手のひらにも唇にも、そして固くなった自分自身からも、つばさの感触を感じる。
(ああ、マジで、……すげー気持いい……)
冬唯はさらに動いた。


(あ、やっ……あ……や…)
肌と肌が打ち当たる音がした。
先程よりもずっと、冬唯の動きは激しい。
つばさは受け留めるのが、精いっぱいだ。
(私の中に……冬唯くんのが……)
つばさの内側の感覚も、さっきよりもずっと研がれている。
(ああ、ああっ…)
触っていたあの塊が今、自分の体の中にあると思うと、この行為自体が現実では無いような気がした。
それでも体内で感じる固さは確かにあって、つばさはそれに貫かれている。

「あっ…あぁっ!」

冬唯が体勢を変えると、彼のものがさらに奥に入ってきた。
一番奥まで入ると、つばさは背中がビクンとなってしまう。
中がグっと締まるのが、自分でもわかる。

(あ、……奥、ダメっ……)
「ああんっ!!」
つばさは大きな声を出してしまった。
その声に反応して、冬唯はつばさの奥へと、もっと突いてくる。
奥に敏感な部分があって、その場所に彼の塊が当たる。
普段では絶対に起こらない感覚が、体内で冬唯の動きに合わせて弾けた。

(ダメ……ダメ……ダメ……気持ち、いい……)

冬唯の動きで、つばさの体が揺れる。
「あぁ、あぁんっ……」
(冬唯くんっ……、冬唯くんっ……)
頭が真っ白になっていく。
体中から与えられる気持ちいいという感覚だけで、つばさはもう何も考えられなくなった。




全国的に豪雨で、既に朝の時点で冬唯には母親から今日は戻らないと連絡があった。
今夜は冬唯はこの家で1人きりだ。
自分と母親以外の家族が関西にいるので、そういう状況は珍しくは無い。
今日は普段よりもずっと夜遅くに、冬唯はつばさを送った。
だいぶ小降りになった雨の中、つばさの家まで手をつないで歩いた。
冬唯は再び家に着いて、まっすぐに自分の部屋へ向かう。
上着を脱いで放り投げ、そのままベッドに倒れ込む。
「あ〜………」
数時間前には、つばさがここにいた。

(つばさ、めちゃくちゃ可愛かったな……)
抱いた後、冬唯はつばさに自分のパーカーを貸してあげた。
自分の、ダブダブの服を着ているつばさの姿はとても可愛かったと冬唯は思う。
その後、しばらくこのベッドで2人で眠った。
初めて見たつばさの寝顔も、可愛かった。

(マジで、今日全部可愛かった……)

つばさが何をしても可愛く思えてしまう。
こんな風に誰かの事を思うのは、初めてだった。

「あー、…今日がずっと続けば良かったのに」
(やばいな、オレ。マジですごい好きじゃん)
スマホを手に取って、今日撮ったパーカー姿のつばさの写真を見る。
こんな風に彼女の写真を撮る事も、今までの冬唯には無かった。
家に着いたというメッセージを、つばさへ送る。

(しかし、あいつ気持ち良すぎんだろ……)

実は初めての時からそう思っていた。
あの時はすぐに罪悪感でいっぱいになってしまって、その事を思い出そうとしていなかった。
(やっぱ、好きだから気持ちいいのかな……)
つばさの体を触りながら、すごく興奮してしまった。
つばさと繋がっている時、どうしようもなく好きだと思う瞬間が何度かあった。
そういう風になってしまうとすぐに果てそうで、冬唯はその度に気持ちをそらした。

(なんで、こんな風に思うんだろうな……)

付き合い始めは、本当に軽い気持ちだった。
正直、自分に振り向かせたいというプライドが一番だったのに、つばさと一緒にいると気が楽で楽しかった。
時折彼女が女の子なんだなと感じる瞬間があると、その時は急にドキドキした。
それがピークに達するまで、2週間ぐらいしかかからなかった。

(初めての後、もっとつばさに優しくすれば良かった)

今になって、冬唯はその事にも後悔していた。
つばさの初めてを衝動的に奪ってしまった後悔と、その後距離を置いてしまった自分への後悔。
自分が恋愛経験が人よりも豊富だなんて、本当に思い上がっていたんだと痛感した。
(……オレ、何も分かってなかったんだな)
冬唯は起き上がって、やっと部屋着に着替える。
そしてまたすぐベッドに戻った。

「泊まれば良かったのに」
実際につばさにもそう言ったのだが、明日学校があるからと普通に断られた。
(まあ、そうだよな)
目を閉じて、枕に顔を埋めた。


(ここに、裸のつばさがいたんだよな……)

時間と体力の許す限り、何度も抱いた。
つばさの声や、その時の表情を思い出す。
(でも、まだ、できそー……)
1日にこんなにセックスをしたのは、冬唯にとっても初めての事だった。

「まだ、足りないよ……」

つばさの事を考えて幸福感に包まれながら、冬唯はそのまま眠ってしまった。


 

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