さすがに朝から押し倒すのはどうだろうと思いながら、オレは果凛のベッドに座った。
初めてこの部屋に入ったのは…もう何年前だろうか。
覚えていないが、あの頃とは全く変わってしまった部屋。
昨日、オレはここで果凛に触れた。
初めて見た果凛の胸、そしてその時の顔…目を閉じても開けていてもずっとチラチラとオレの意識から離れなかった。
「みんな、今頃学校なんだろね……」
オレの隣に座っている果凛が、部屋の時計を見ながら言った。
薄いオレンジ色に縁取られた丸い時計。
果凛の部屋はいたるところにピンクとかオレンジがあって、オレの部屋と全然様子が違ってた。
だから余計にオレは落ち着かない。
二人きりでいるだけでも緊張するっていうのに。
「…そうだよな…」
改めてオレは自分の腕時計に目をやって、頷いた。
「ねえ、敦志」
「うん?」
果凛はオレと目を合わさずに、ちょっとオレに近付いてくる。
オレの左腕に、そっと自分の右腕を回してきた。
そんな風にしてくる果凛はイヤじゃなかった。
手が触わったとき、オレは彼女の手を握った。
「……」
なんとなくだけど、果凛が嬉しそうなのが分かる。
結構、果凛のそういうとこ、オレは好きだ。
何だかんだ言っても、オレだって果凛がそばにいてくれると嬉しい。
「敦志ー……」
「何?」
「あたしたち、…今日エッチしちゃうのかな?」
果凛のストレートな発言に、オレの動悸は一気に高まる。
(そんなこと改めて聞くことかよ…)
「うん……多分?」
オレは曖昧に頷いた。
ふと、もしかしたら生理になったりしててダメだとか言ってくるんじゃないかと思って、オレは変にドキドキしてくる。
「………そっか……」
果凛がため息をつく。
そんな彼女の顔を見ると、妙に焦ってきてオレは心配になってくる。
短いスカートから出てる果凛の太腿は、あまりにオレの近くにあって、…こうしているだけでもオレは衝動を堪えているっていうのに。
「何か……もしかして、気が進まない?」
オレは果凛の様子を見て思ったとおりに、彼女に言った。
「ううん……そんなことないけど…」
果凛は首を振った。
オレと繋いでいる手の中がじっとりとしているのは、オレの汗なのか果凛の汗なのか。
「だって……初めてなんだもん」
果凛がオレの肩に頭をもたれかけながら言った。
(マジ……?)
オレの頭の中に、果凛が処女だっていう前提は全くなかった。
当然のように、果凛は既に経験しているもんだって思っていた。
「……マジで、…初めてなのか?」
言った後に、オレは喉が鳴ってしまった。
「そうだよ」
果凛がギュっとオレの手を握ってくる。
「どうしよう……敦志…」
(どうしよう、って言われても……)
見上げてくる果凛の瞳は大きくて、ホントに可愛い顔だなと思う。
「………」
思わず頬に触れてしまう。
言葉を返すよりも、行動が先に立った。
オレは果凛にキスした。
白に薄い緑色の線が所々に入ったベッドカバー。
自分でも驚いたけど、オレは果凛を押し倒してた。
(動物だな、……オレ)
果凛の唇の柔らかさを感じながら、オレは震えそうになる手で制服のブラウスのボタンを外していった。
……まさか処女だとは思わなかった。
それを聞いて、テンションが上がるオレもどうかと思うけど。
「あっ…」
ブラウスを脱がすと、果凛が声を上げる。
上半身はブラジャーだけの姿になった彼女は、自分の胸をおさえた。
「……カ、カーテン…閉めて」
オレは手を伸ばして、ベッドの頭側にあるカーテンを閉めた。
外は晴れていたから、カーテンを閉めても部屋は少ししか暗くならない。
寝転がってる果凛は不安気で、それがオレを余計に高ぶらせる。
「果凛……」
「……ぅん…」
オレは果凛とキスするのが好きだ。
果凛のことは勿論好きだが、それとはまた別に、『果凛とキスするのが好きだ』と思う。
うまく説明はできないが、とにかくそうなんだ。
オレは果凛の唇に自分の唇を合わせ、そして舌で彼女の舌に触れる。
「んっ……」
そうしながら、オレは果凛のブラジャーを剥いだ。
果凛の裸の上半身。
服を着ている時感じる以上に、果凛の胸は大きい気がする。
巨乳、というのとはまた違っていた。形のいい、適度な大きさなんだ。
オレは彼女の乳房に触れた。
張りがあるのに、柔らかい感触。
そしてデカイオレの手でも、溢れそうに揺れるボリューム感。
「ふっ……んっ…」
唇が外れる。果凛の声が漏れる。
この乳房に、もしかしたら誰も手を触れていないのかも知れないと思うと、嫌がおうにもモチベーションが上がってくる。
オレはスカートに手をかけた。
「やだ……」
ショーツ一枚の姿になった果凛は、泣きそうな顔でオレを見あげてくる。
(すっげーーー可愛いんだけど……)
そして果凛は素晴らしくスタイルが良かった。
しっかりと胸があるのに、腰は細くて柔らかな曲線を描いて足に繋がる。
美しいっていうのはこういう事なのかと、理屈ではなく感性で納得した。
果凛はちょっと睨んでくるような表情で、オレを見る。
ここで『やっぱりやめて』なんて言われたら、オレは多分立ち直れないだろうと思う。
「ずるい……敦志も脱いでよ……」
果凛は指先でオレの制服に触れた。
「ああ……」
服を脱ぐ、
という日常何気なく している動作に、こんなに興奮してしまう自分自身に驚く。
シャツを脱いで、制服のズボンも脱いだ。
自分の肌をさらす事が、果凛の前だとこんなにも特別になる。
「………」
オレは果凛にキスする。
胸と、胸が触れる。
オレはすごくドキドキしていた。
手に触る果凛の肌の感触も、素晴らしく良かった。
オレの体の下の果凛は固くなっていた。
触れても、小さく息を吐くだけだった。
果凛が緊張しているのが分かる。
大人しくなってオレに抱かれるのを待っている。
その姿はヤバいぐらい可愛かった。
オレ自身も緊張が高まるのと同じぐらい、体の内から欲望が溢れてくる。
そっと腕を伸ばして、彼女のショーツの中に手を入れた。
果凛は強く足を閉じていて、オレの手の侵入をなかなか許さない。
「果凛」
「……んん?」
目を閉じていた果凛の睫毛がゆれる。
「もうちょっと、…力、抜いて」
オレの手はそこに触れかけていた。
「………」
果凛は恥ずかしそうに足の力を少し緩めた。
オレは指先をそこへ滑らせる。
果凛のその場所はほとんど濡れていなかった。
無理矢理に指を割って入れようにも、処女の果凛にそんなことはできない。
「………」
オレは改めてドキドキしてくる。
果凛とセックスするんだという実感が、唐突に湧いてくる。
オレは果凛のショーツを脱がせた。
「………」
果凛は目を閉じて、手を口にあてて黙ったまま横を向いていた。
完全に裸になった果凛の姿を見て、軽く震えそうになるぐらいオレは緊張してしまう。
(すっげー綺麗……)
こんなに素晴らしい体なのに、誰にもそうされたことがない事に、オレは感激する。
(誰だよ、遊んでる、なんて言ってるヤツ…)
オレだって、こうならなかったら果凛は派手で遊んでる女だと思い続けていたに違いなかった。
(オレって、バカだったよな…)
マジで、素直に思う。
「果凛、……好きだよ」
「敦志……」
果凛は一瞬オレを見て、また目を閉じた。
「もう、…恥ずかしいよー……」
そう言って頬に手をあてる。
(もっと、恥ずかしいことするんだけどな…)
オレは果凛の膝を持って、脚を開いた。
「やっ……、やぁんっ……」
果凛は閉じようと足に力を入れる。
「……果凛……」
オレは体を起こした。
果凛はまっすぐ腕を伸ばして、自分のそこを隠そうとする。
「や、…だめっ……恥ずかしすぎるー……」
泣きそうな果凛が、すっごく可愛かった。
「………」
オレは果凛に近付いて、またキスした。
「んん……」
できるだけ優しく、唇を重ねる。
(柔らかいな……)
この感触が、オレをたまらない気持ちにさせる。
オレは今まで付き合ってる彼女に、こんなにキスしたりしなかった。
果凛は特別だった。
全てにおいて、特別な女になりそうな気がしていた。
キスし続けていると、果凛の力が抜けてくる。
オレはゆっくりと体を下げた。
「あ、んっ…」
足を開いて、そこに唇を付ける。
「やっ、……や、…あんっ…」
オレはしっかりと果凛の膝を掴んだ。
唇と舌で、その場所を愛撫した。
「やんっ、…恥ずかしいっ…あっ…あ…」
恥ずかしがる果凛をとりあえず無視して、舌を間に割り込ませる。
コリっとした塊があって、オレはそこを舌先で弾く。
「んっ、……あ、……やっ…」
それでも閉じようとする果凛の膝を強く掴んで、オレはそこを夢中で舐めた。
早くここに入れたくてたまらなかった。
「あぁ、……いやんっ…」
だんだんと果凛の力が抜けていく。
オレは片手を離して、指でそこに触れる。
「う、んっ……」
入り口を探して、肉の間を指先でそっと追っていく。
上からなぞるように触っていくと、自然に穴に指が吸い込まれていく。
そこは濡れていた。
既にオレの唾液で潤い始めていたが、指先ですくえるぐらいに果凛自身からも溢れてきていた。
オレは力を入れて果凛の膣へ自分の指を入れていく。
「あっ……あんっ!」
閉じそうになる彼女の足を、オレは左手で押さえながら大きく開いた。
果凛はすごくキツかった。
指を1本通そうとしているだけなのに、その侵入を拒むように圧がかかる。
処女、ということを改めて思う。
オレは既に汗をかいていた。
果凛のそこに自分の指が入っている、そのビジュアルで異常なぐらい既に興奮していた。
焦る気持ちを抑えて、ゆっくりと、ゆっくりと、果凛に指を入れていった。
「あぁん……あんっ…」
果凛の声が大きくなる。
オレは気持ちが急いてしまう。
しっかりと奥まで指が入るのを確認すると、すぐにオレは出し入れしてみる。
「はぁんっ!……んんっ…」
果凛の顔が歪む。
「……痛い…?」
心配になってオレは言った。
「大丈夫……、痛くないよ…んっ…」
(ダメだ…もう…)
顔を見ていると、たまらなくなってくる。
オレは指を抜いて、裸の果凛を抱きしめた。
果凛も、オレに抱きついてくる。
「敦志……」
「………」
目を開けた果凛の瞳から、一筋涙が出ていた。
「……怖い?」
オレはその涙を指で撫でた。
「…うん……」
見つめてくる果凛はすごく切なそうで、すごく可愛かった。
「ごめんな……」
オレは果凛の足を開いて、自分の体を入れる。
「もう、オレ入れたくてたまんない……」
「うん……………いいよ…」
果凛は目を閉じて頷いた。
――― オレは腰を入れた。
「あああんっ!!!」
果凛は仰け反って、オレから逃げるように上へ上がっていこうとする。
「果凛……」
オレはしっかりと果凛の腰を掴んで、更に自分の方へ引き寄せた。
(ごめんな…)
果凛が苦しいのは分かっていたが、ほんの先の部分しか入っていないそこに、オレは力を入れた。
「あっ!あぁっ……あぁーんっ!!」
オレの肩を掴む果凛の手にグっと力が入る。
「果凛……」
「ああんっ、…い…っ…たぁいっ……!!!」
果凛が大きな声を上げる。
(痛いんだろうな……)
それでもオレは入っていくのを止めなかった。
果凛のそこは、すっごくキツかった。
オレでも痛いぐらいなのに、きっと果凛はすごく辛いだろう。
「うあ、うあ……あぁんっ…」
本当に辛そうな声を出して、顔を歪ませる果凛。
そんな姿も、愛しい。
「好きだ、……果凛っ…」
「あぁんっ、…あっ…敦志、…敦志っ……」
果凛があんまりにも辛そうだからか、オレまですごく切なかった。
それでも苦しそうな果凛を見て、オレは感激してしまう。
彼女の全てが、可愛くてたまらない。
好きで、たまらなかった。
「………果凛」
オレは果凛の髪を撫でた。
終わった後、やっぱり果凛は泣いていた。
「大丈夫か?」
「……大丈夫、なわけないじゃん」
そう言うと、果凛はまたちょっと涙を流した。
「…痛そうにしてたもんな」
オレはその涙を指で拭いてやる。
果凛はちょっと目を細めた。
「めちゃくちゃ痛かったよー……あーあ、いいなぁ、男は…」
そう言って口を尖らせた。
(男だって、色々大変なんだけどな…)
オレはそう思ったが、黙って果凛を撫でてやった。
「敦志は……気持ち良かった?」
果凛は上目でオレを見つめてくる。
腕の中の彼女は、いちいち可愛かった。
「…………すごく」
オレがそう答えると、果凛はパっと笑顔になる。
「良かった……嬉しい」
ニコニコしながらオレの首筋に抱きついてきた。
こうして裸で抱き合ってるだけだって、オレはすごく気持ち良かった。
「敦志、子どもの頃…あたしとキスしたの、覚えてる?」
「覚えてるよ」
小学校に入ったばかりの頃だった。
キスさせてくれって言ったのは、オレだった。
あの頃、すごく果凛が好きだった。
思い出すと、懐かしさと恥ずかしさが甦ってくる。
腕を回していた果凛の手が、オレのうなじに触る。
「あれ、もちろんファーストキスだったんだけど」
「うん」
オレだってそうだ、と思いつつ頷いた。
「それから十年以上経って、……初めて結ばれた人が敦志だなんて」
「………」
「奇跡、だと思わない?」
果凛が体を離して、オレに向かってにっこりと笑う。
その笑顔は子どもみたいで、何だか懐かしさがこみ上げてきてオレは胸が熱くなる。
「……そう、だな」
オレは果凛の額にキスして、ギュっと抱きしめた。
(奇跡、か……)
美しく成長した果凛が、今、オレの腕の中にいるのも奇跡だと思う。
そして、果凛が今日まで誰にも抱かれずにいたっていうのも、マジで奇跡じゃないかと思う。
「果凛」
「うん?」
恥ずかしそうにオレを見る果凛は、…今、オレの彼女だ。
「…………」
果凛につられて、オレまで思わず笑顔になってしまう。
それを見た果凛は、もっとニッコリとして言った。
「今日、…いっぱい好きだって言ってくれて、すごい嬉しかったよ」
「…………」
さっきからオレは胸が一杯になって、軽く泣きたいような気分だ。
じっとオレを見る大きな瞳。
「…………」
果凛はオレの言葉を待ってる。
仕方なく、オレは口を開いた。
「だって、……お前、……超可愛いしさ」
みるみる笑顔になっていく本当に嬉しそうな果凛は、やっぱり超可愛いと思った。
これ以上何も言えなくて、オレは果凛にキスした。
大好きな、果凛とするキスを……やっぱり何度も何度もオレは繰り返した。