奇跡の青

15・重なり

   
すっごい、痛かった………

セックスは思ってたよりも、やっぱり痛かった。
恥ずかしかったのも痛みでふっ飛んだぐらい。

今………私は敦志の腕の中にいる。


少し眠ってしまって目覚めると、私は敦志に抱かれていた。
目の前の敦志も眠っていた。
私は至近距離の彼を、じろじろと観察した。
意外に睫毛、長いじゃん。
鼻筋、通ってる。
敦志の顔立ちは、「男〜」って感じ。
よく見ると、結構好みかも。なんで今まで気がつかなかったんだろ。
ちょっとあごにヒゲが何本か伸びてる。
私の知らない種類の匂いがする。
「…………男の子って、不思議」
こんな狭いベッドに、敦志と二人でいるのも不思議な気がした。
それにお互い裸だし。

私は眠ってる敦志に、ちょっとキスした。

私が日常を過ごしているこの空間で…男の子と二人で、こんな風に過ごす時が来るなんて想像もしていなかった。
そして、私の『初めて』の、その男の子がよりによって敦志だなんて。

(あっちゃん………)
あんなに仲良しだったのに、どうして疎遠になってしまったんだろう。
それどころか、二人の間に流れる空気は険悪な感じになってしまっていた。
(だけど……)
何だかんだ言っても結局は、今こうして敦志は私のそばにいる。
(もう、嬉しいなぁ…)
私は色んな意味で嬉しかった。

敦志とこうしてまた仲良くなれたこと。
…今、敦志に愛されていること。
そして…結ばれたこと。

(しちゃった……)

素肌を重ねながらそばにいるのに、何だか私はまだ実感が湧かない。
あんなに痛い思いをしたのに、どうもピンと来なかった。
「…………」
じっと見ていたら、敦志の目がそっと開いた。
「…おはよー」
私は笑顔で言った。
「あぁ…果凛……」
敦志はいかにも目が悪そうな感じの目つきで、私を見る。
「眠い……」
そう言うと、私のことをギュっと抱きしめた。
「うう〜っ…ぐっ…」
寝起きの敦志の力が強くて、私は嬉しいのに苦しくて辛い。

「く、苦しい……」
「ああ、ごめん」
敦志は私を抱きしめた腕を緩めて、私の顔を改めて覗き込む。

「裸じゃん、果凛」
「裸だよ、って敦志もじゃん!…ボケてんの?」
どう考えても、私たちは二人とも裸。
何言ってんのって思いながら私も敦志を見た。
「そうだった」
敦志は薄く笑うと、私の体から離れた。
狭いベッドだから、並んで横に寝ると本当に落ちてしまいそう。
伸ばした彼の手が私の肩を撫でた。
「もう痛くない?」
敦志が心配そうに言う。
普段はあんまり聞くことのないその優しい声の響きが、私は嬉しい。
「今は痛くないよ」
私は答えた。
「…そうか」
敦志の手がそっと私の肌を滑る。

「学校サボっちゃったな」
「サボっちゃったね」
「初めてだぜ、こんな風に親にウソついて家出たのなんて」
「…私だって…あ、ズル休みは時々あるけど…」
「なあ、誰かにバレないかな」
「……大丈夫、でしょー………ん…って、敦志…」
「うん?」

「普通に喋りながら、…なんでおっぱい触るの?」
私はさっきから敦志におっぱいを触られていた。
「いいじゃん、いいだろ」
そう言いながらも、彼の手はしっかりと私の乳房を掴んでいた。
「い、…いいけどさ……あ」
敦志が親指と中指で、私の乳首をつまんだ。
「ちょっ……んんっ…」
人差し指で、私の先端をすりすりする。
「きゃ、んっ……」
敦志を見ると、彼はしっかりと私の顔を見てた。
「…や、やん…」
私は慌てて目をそらした。
敦志の指は私の先っちょを触りつづけてる。
私の顔に向けられた視線を痛いぐらい感じた。

「あ……」

敦志の手が、私のそこに触れた。
裸だったんだってことを実感する。
「や、……んっ…」
敦志が私の乳首を軽く噛んだ。
指先が、私の割れ目に入り込んでくる。
またドキドキしてきちゃう。
色んなとこを、一緒に愛撫されてる。
「あぁ、んっ……んっ」
多分クリトリスであろうその場所を、敦志は指で撫でてきた。
その力加減が微妙で、なんか、なんていうか…
「はぁ、…あんっ……」
何気におっぱいも感じてきた。
敦志の舌が、私の乳首を上下に振る。
(あーん…気持ちいい……)
さっきは緊張しすぎてて、何が何だか…何をされているのかもよく分からない状態だった。
今更ながらに、やらしい事してたんだなって思う。
「あぁん、……やんっ、だ、ダメっ…」
私は敦志の肩を両手で掴んでしまった。
「……どこか痛かった?」
敦志は顔を上げて私を見た。その目は心配そうだった。
「…ううん、…痛くない…」
「大丈夫?……やっぱりしんどい?」
彼は体を上げて、私の頬を触った。
目の前にいる、私の体の上にいる、裸の敦志。
顔を見てるだけでも、やっぱりすごいドキドキしてくる。
私は首を振って、言った。
「…なんか…ちょっと感じてきちゃったみたい…」

敦志は一瞬ホっとした表情を浮べて、そして私に笑顔を向けてくれた。
「オレ、果凛のそういうとこ、好きだよ」
「えっ…そういうとこって?」
好きって言葉が敦志の口から出るたびに、私はちょっとウルっとする程嬉しくなる。
「素直なとこ」
「………」
褒められたりしたいのに、面と向かって言われると逃げたくなるぐらい恥ずかしくなる。
それと、…敦志が笑いかけてくれる、それだけでもたまらないのに。

「ん……」

敦志にキスされる。
彼の舌が、私の唇を割って入ってくる。
舌と舌が絡むこの感じ。
前付き合ってた子ともこんな風にキスしたことはあるけど、この感じ私はあんまり好きじゃなかった。
だけど敦志となら自然だった。
なんか……敦志なら何をされてもいい、そんな気がする。

「ん、……んんっ……」

敦志の手が、また私のそこへ伸びてきて…指先がさっきの続きを始める。
(あん…ああん……)
すぐに感じてきた。
多分、敦志が私に対して優しくしてくれてるからだと思う。
相変わらず続いているキスも、やっぱり優しかった。

しばらく、敦志にされるがままでいた。
彼の指先にいじられて、私はなんだかムズムズしてくる。
すごく変な感じ。
変……。
「あ、……敦志っ……」
「ん?」
私を見てた敦志の目が、色っぽくて余計にドキドキしてしまう。
一重の切れ長の目は、普段はすごく冷たく見えるのに。
「……なんか、…ダ、ダメ…」
「こうするのが?」
敦志は私のその場所を押さえて、指先をグリグリと動かした。
「あっ!…あぁぁんっ!」
体がビクンとなってしまう。
それでも彼の指先は離れないで私のクリトリスを触ったままだった。
「………」
敦志の指が更に動く。
「はあん、…あっ……だ、……ダメ…ま、待ってっ…」

私は体をよじって逃げた。
「はあ、はあ…はあ……はあ…」
「……果凛…」
敦志の手が伸びてくる。
「やっ、ダメっ……あっ、あのさっ…」
私は慌てて敦志の手を押さえた。

「……う〜んと…、………あのさ…」
私は何て言っていいのか困ってしまう。
だけど体の中が何だかウズウズして、敦志にどうにかしてもらわないと変になりそうだった。
「……また、しよ?…敦志…」
敦志はビックリしたみたいだった。
「果凛……大丈夫なのか?」
「うん……わかんないけど…だって…」
裸でこんな風にしているなんて、ホントに男と女なんだなって思う。
時々私の体に触れる敦志の固さ、さっきからずっと感じていた。

「……だって、したいんだもん」
「……果凛」

一瞬見つめあった。
さんざん触れ合った彼の唇を、私はじっと見てしまった。
そういえば……さっき私、舐められてた…。
そんな事を今思い出す私って、やっぱりエッチだなって思った。


「は、あぁぁんっ………!」

体の真ん中に、ものすごく大きいものが入ってきてるような気がした。
(やっぱり、いたぁぁいっ……)
私は敦志の肩を強く握った。
体を合わせた状態で、更に深く敦志が私に入ってくる。
(ああああんっ、いったぁぁっ…)
傷口を、更に強引に広げられてる感じ。
「うっ……うぅん……」
私は唇を噛んだ。
敦志の動きが止まる。
「あん………うぅんっ…」
動かなくても、私の体の中の敦志の存在はすごくて…やっぱり痛かった。

「……辛いだろ…」

敦志が私の髪を撫でる。私は首を振った。
「涙出てるぜ……」
髪を撫でてくれていた指が、私の目尻に移る。
(あ、ホントだ……)
体は正直だなぁって、思ってしまった。
(痛いもん……)
だけど私は何も言えなかった。
…痛くても、こうしたかった。
だって敦志が大好きなんだもん。

「…好きだよ、果凛」
私の頬にキスしながら、敦志は言った。
(ちょっと、ズルい…)
この前あんなに言って欲しいってお願いしたのに、このタイミングでこんな風に…何度も「好きだ」って言うなんて。
…だけど。

「嬉しい……敦志」
「オレも嬉しい」
「好き、…大好き……大好き…」
「うん、……好きだよ……オレもすごく…」


『好き』という言葉を重ねながら、私たちはお互いの体を触りあった。

(もう、…嬉しいなあ……)

動き出した敦志を、私はこの体でせいいっぱい受けとめる。
痛いだけじゃない涙が、出てた。
 

ラブで抱きしめよう
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