ラバーズ(Lovers)

☆☆ 9 ☆☆

   

「優哉の………、おっきいぃ……」


杏菜のそこは まさに今、
ボクのそれを半分ほど呑み込み、ギュゥっと締め付けている。

「う、ああ…」
ボクまで思わず声が出てしまう。
閉じていた目をうっすらと開けると、裸の杏菜が足を開いてボクの上に跨っている。
一度だけ見たことのある可愛らしい胸を、こんな風に下から見上げる日が来るなんて思いもしなかった。
彼女は眉間に皺をよせながら、ボクの腰へと自分の体重を乗せていく。
何もかもが非現実的で、そしてすごくエッチだ。


「ああ…んっ、……んんっ、…優哉……」

(キツい……)
ボクを包む彼女を、とても小さく感じた。
杏菜の中はボクをギュウギュウ締め付け、そしてボク自身も更に固さを増してしまうから ますます搾られる。
「はあ……」
堪えきれずに溜息が漏れる。


――― 女の子の中って、こんなに気持ちが良いんだ…。


ボクが想像していた行為よりもずっと、実際のそれはもっと温かく優しく、興奮するものだった。
「ああん……、あっ……」
彼女の出す声が、更にボクを高ぶらせる。
肉体的なつながり以上に、彼女のビジュアルがたまらない。
「優哉ぁ……」
杏菜はボクに覆い被さってきた。

「んん……」

ここに到達するまでに今日何度もしたキスを、繋がりながらまた交わす。
杏菜の唇は本当に柔らかくて、それに触れるとボクはすごくドキドキしてしまう。
(ああ……すごいな…)
触れ合っている部分の肌の気持ち良さは、完全に未知の感覚だった。

「ん……んっ」

少しずつ、杏菜が動き始める。
ボクはさっきから彼女に身を任せっぱなしだった。
全身が柔らかい肌に触れ、そして自分的最高級に怒張したそこが彼女によって擦られる。
(ああ……だめだ……)
気を緩めた途端、即座に破裂しそうだった。
(よ、……良すぎる……)
マスターベーションとは全く違うこの感覚が凄すぎて、ボクは持ちこたえられそうにない。
思わず彼女の腰に手を回してしまう。

「ダメだよ……杏菜っ……もう、…」
「いいよ…、いって……、いって、優哉っ……」

杏菜の腰の動きが深く早くなる。
「あっ、…あっ……あぁっ……」
彼女の出す声が、更にボクの到達点を近づけてしまう。
杏菜の腰の動きに合わせ、ボクもいつの間にか下から突き上げていた。


(ああっ!………………杏菜…)





「お腹すいちゃったねえ」

のほほんとした調子で、杏菜が言った。

あの後すぐにシャワーを浴びて、ボクたちは着替えた。
ボクのケガの手当ても、改めて杏菜がやり直してくれた。
出血はほとんど止まっていたが、擦れた範囲が大きくて、実際の痛み以上にビジュアルは痛そうに見えた。
「出かけようとしてて、…結局何も食べてないね」

ボクと杏菜は近くの定食屋に行った。
相変わらず彼女は痩せの大食いで、今日もご飯とおかずを大盛りにして完食した。
その後、そこから少し離れた所にある大きな薬局へわざわざ行く。
「優哉は、Lの方がいいと思うよ」
そう言いながら、杏菜はLサイズのコンドームを幾つもカゴに入れ、ボクはすごく恥ずかしい思いでそれを精算した。

「ん〜♪…」

小さく鼻歌を歌う杏菜は、そっとボクに手を伸ばしてくる。
ついさっきまでのボクならガチガチに構えるのに、今のボクは自然にその手を自分の手で受け止める。
(初めて、手を繋いでるのかも…)
手を繋いで歩く、そんなことだけでもボクは完全に舞い上がっていた。
今日経験した事全てが、自分のことではないような気がする。
というか、杏菜と出会ってからの出来事全てが、未だに信じがたい。
その反面、理性では納得できていないというのに、ボクはもう彼女なしでの日々を送れないだろうとも思っている。

今の彼女は本当に、ボクの渇望する“夢のような現実”そのものなのだ。


アパートに戻ると、昼間の部屋はすごく蒸し暑かった。
「あっつーいねーーー、エアコン、つけようよ。あんまり効かなくても点けないより多分マシだと思うよ」
部屋に入るとすぐに、杏菜は扇風機のスイッチを入れに走る。
「そうかなあ…」
ボクはパソコンの机に置いてあるリモコンを取った。
「ねえ、エアコン掃除した事……ある?」
杏菜の突っ込みに、ボクはハっとした。
「ない……」

結局その後、ボクは杏菜に言われたとおり、エアコンのフィルターを掃除した。
そうこうしている間も、明らかにボクらの間に流れる空気は今朝までのものとは違っていると感じた。
なんだかずっと、自然になった。
ボクは杏菜の側にいると相変わらずドキドキしていたけれど、それでも今までのように『固まる』といった類の行動は収まったように思う。

彼女が冷蔵庫から氷を出してくれて、二人で麦茶をコップに入れて飲んだ。
相変わらずボクのせいで『会話が弾む』といった感じではなかったけれど、杏菜はボクと視線が合うと優しい笑顔を向けてくれた。
その笑顔さえ、昨日までとは違っている気がする。
それがすごく嬉しくて、ボクは胸が一杯になってしまった。

「やっぱり涼しくなったじゃん」
フィルターはあっという間に乾いて、掃除したエアコンはウソみたいにその性能を取り戻した。
「ほんとだね…」
ボクはこれまでの無駄な電気代を考えると、ちょっと虚しくなった。
「腕、痛くない?」
杏菜は心配そうにボクの腕に目をやった。
「ほんとに大丈夫だよ」
彼女とこんな風になったおかげで、ボクの神経は全部杏菜に向かっていて、実際 痛みはほとんど感じなかった。
「ごめんね………優哉」
「ううん」
ボクは大きく首を振る。
ケガをして引き返してなかったら、こんな事になっていなかったかもしれない。
そう思うとこれは不幸中の幸い……というかそれはちょっと違うけれど、トータルで見れば大ラッキーだ。

「優哉が好き……」
「………」

杏菜にそんな風に言われると、ボクは恥ずかしくてどう答えていいか分からなくなる。
それでも、いまやボクたちはお互いの気持ちを何となく悟りあっていて、自然とお互いを求める方向へ向かっていく。



「触って……」

裸で仰向けに横たわる彼女の両方の胸に、ボクは導かれるがままに手を伸ばした。
(女の子って、…柔らかい……)
男の体ではありえないその感触。
手の平に収まるぐらいの杏菜の乳房を、ボクは緊張しながら触った。
ボクの手の中の彼女の乳首の感じがなんだかエッチで、どんどんどんどん興奮してしまう。
「うぅん……」
軽く声を出す杏菜の表情の色っぽさが、また たまらなかった。
普段は10代にしか見えないぐらいの童顔なのに、今ボクの下にいる彼女はほんとに女だ。

ついさっき一度エッチしたとは言え、ボクは彼女にされるがままでいただけだった。
自分が主導しなければならないこの状況に、ボクはどうしていいのか分からなくて焦ってくる。
確かに杏菜の可愛いオッパイは、好きだ。
しかしこのまま、乳房ばかりを弄っているわけにもいかないだろう。
ボク自身も、もうかなり興奮していて、本能の元に自然と意識は彼女のもっと下の部分へ向かっていた。

好きだとか愛してるとかそういう甘い言葉を言えばいいのに、ボクの口からはとんでもない台詞が出てしまった。

「み、…見てもいい?」

言った後に、しまった と思った。
だけど杏菜は薄く目を開いてボクを見ると、恥ずかしそうに頷いた。
「いいよ……」
(かかか、可愛い……)
彼女のその言葉に背中を押されるように、勢いでボクは杏菜の両膝を手で開いた。
ボクは彼女の脚の間で、下手したら正座しそうになってしまい慌てて足を崩す。
そして改めて視線を彼女へ向けた。

(うおおおおおぉぉぉぉぉ………)

オッサンのような感嘆の声が、自分の胸の中に響き渡る。
杏菜のそこを目の前にしている事実とか、女性器を初めて間近に見る事とか、何よりも今 彼女がボクの前で裸で足を開いているこの事実そのものに、興奮のメーターは振り切ってしまいそうだ。
いつもボクに優しく接してくれて 夢のように可愛い杏菜が、今ボクの前で無防備な姿をさらけ出している。
目を閉じて横を向いた彼女の顔から続く首筋、浮き出た鎖骨の下にある乳房の膨らみの先には突起した乳首が上を向いている。
そしてお腹へと続くラインの先、華奢な脚がボクの前でMに開かれていた。
(あああああ……)
ボクは、視線をそこに向けた。
薄い恥毛の下、肌色を赤くしたようなピンク色の部分。

(うわあ……)

恐る恐る手を伸ばして、片方の襞(ひだ)を開いてみた。
白桃色を混ぜたような更に明るい色合いの襞々が、その中に見える。
(こ、こ、こんな風になってるんだ……)
ボクは両手を伸ばし、指先で更に彼女を開く。

「恥ずかしいよぅ……」

杏菜は自分の顔に手をあてた。
ボクの興奮は凄まじかった。
オタクのボクが今までアニメや実写で見てきたものとは、まるで違うと思った。
次元が違う。
ボクの指先に触れている彼女の性器の感触の柔らかさが、それをボクの体にダイレクトに伝えてくる。
(おおおお…)
襞の下の方にある奥まった場所から、染み出すように液体がトロっと溢れてきた。

「あん、……もう……やぁんっ…」

杏菜の声は、すごく可愛い とボクは思う。
彼女を開く指先を離し、改めて中心に縦に通っている亀裂に右手の指を滑らせてみた。
「あっ……ん」
ピクンと杏菜の腰が動く。
その指先に少し力を入れると、第一間接のあたりまで彼女の肉の間に入っていった。

ゴク……

思わず喉が鳴ってしまう。
ボクの下半身こそ、もうヤバイことになっていた。
杏菜の温かさを感じる指先を、ボクは上下に動かしてみる。
「あん、……あっ…」
指は滑らかにその場所をすべった。
見えていたよりもずっと、杏菜のその場所は濡れていた。
(ヌルヌルだあ……)
亀裂の上の方にある小さな塊が、いわゆるクリトリスなんだろうなと漠然と悟る。

くちゃっ……

指を動かすと、時折杏菜のそこから音が漏れる。
それがすごくいやらしくて、たまらない。

(杏菜……ああ…)
彼女のその場所の輪郭に沿って指を移動させると、自然に吸い込まれていく場所があった。
(ここが……)
本当に吸い付いてくるように、ボクの指は自然にそこへと呑み込まれて行く。
「ああんっ…」
杏菜が声を出す。

(うわあ、…入っちゃうよ…)

ボクの人差し指は、簡単に入ってしまった。
彼女が締まり、ボクの指はねっとりとした彼女の感触に包まれた。
(すごい……)
ボクは指を引いて、更に中指を足して2本、彼女へと入れてみる。

「う、ああんっ……あんっ…」

くちゅくちゅ、くちゅっ…

ボクの指の動きに合わせて、杏菜のそこは音をたてた。
(こんなのって……す、すごい……)

――― 脚を開いた彼女のその場所に、ボクの指が入っている。

「あんっ、…あん…」
そしてボクの指先の動きと共に、杏菜が反応する。
目の前の光景が、自分ながらにも信じられなかった。


「な、舐めて……優哉っ…」

指は入れたまま、ボクは素直に彼女の言葉に従った。
ボクの舌も唇も、彼女の大事な所に触れた。
そこは本当の杏菜の唇みたいに、柔らかかった。

「あっ、あああんっ……優哉、……気持ちいいっ…」

(……女の子って、こんな味なんだ…)

全ての事が初めてで、ボクは彼女への愛撫に没頭した。



どれぐらいの時間、そうしていたんだろう。

「ああんっ、もうっ……、優哉、……もう……優哉の、入れて……」

恥ずかしそうに杏菜が言った。
展開を仕切ることがやっぱりできなくて、ボクは杏菜にそう言われるまでひたすらに彼女を舐め、指で中の感触を堪能していた。
「ああ、……ん…」
肩で息をしながら、杏菜は体を起こした。
彼女は先ほどと同じ様に、手際よくコンドームをボクに付けてくれた。


もう充分すぎるほど濡れたその場所に、ボクは自分のものを挿した。


「ああん、すごい気持ちいいっ……固いよっ、…優哉の……。あっ、あんっ」

杏菜はボクに抱きついてきた。
ボクも杏菜を抱きしめる。
(うわあ……、気持ちいいっ……)
さっきよりもずっとお互いに興奮した状態で始まったから、もの凄く気持ちが良かった。
(これ、やばいよ……)


「優哉、…好きっ……、あ、あっ…好きっ……、あぁぁんっ…」

「ボクも…、ボクも、好きだ……」


言えなかった『好き』という言葉を何度も口にしながら、ボクは夢中で動いた。





「私、好きな人とエッチしたの、初めて……」
ボクの左側に裸でぴったりと寄り添う彼女が、言った。
「そう、なんだ…?」
杏菜のその言葉に、ボクは少し寂しさを感じた。

ボク自身、自分が女の子とセックスするなんていうのはあまりにも非現実的な事で、もしかしたら一生妄想で終わってしまうかもしれないと軽く覚悟していたぐらいだった。
それなのにこうして、大好きな女の子と初体験を迎える事ができたなんて、本当に夢のように幸せだと思う。
だからボクにとってセックスは、イコール『幸せ』ということだ。

杏菜は今までどんな体験をしてきたんだろう?
流れ着くようにボクの側に来るまで、一体何をしていたんだろう?

彼女に抱く基本的な疑問が、またボクの中で甦った。

「エッチするのって、すごく幸せな事なんだね……」

そう言って杏菜は嬉しそうに微笑んだ。
ボクと同じ様に感じてくれたことを、ボクはすごく嬉しく思った。
杏菜はすごく辛い事があったのかも知れない。
そういえば初めて会ったときに、『やってもいい』みたいな事を言っていた。
もう、そんな彼女に戻って欲しくなかった。


「優哉の側にいたい…」
ボクの首筋に頭をくっつけて、杏菜が小さな声で言った。

「……うん、いてよ」


ケガをしている事をすっかり忘れていた右手をまわして、ボクは彼女の髪を撫でた。
切なかった。



触れ合っている体の熱さは冷めなくて、ボクたちはほとんど寝ないで朝まで混ざり合った。

 

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