夢色

5 放課後

   
タバコの匂いがする。

それと、苦い整髪料みたいな。
あたしの普段の生活には縁のない匂い。
それから、消毒液みたいなこの部屋の匂い。

薬品室の窓はしっかりブラインドが下がっていて、だいぶ日が長くなっているのにこの部屋はもう薄暗かった。
ここは普段、生徒が出入りすることができない。
戸棚ばかりの狭い部屋の中で、あたしは壁に背をついていた。
田崎に引っ張られて入ってきたから、彼とは至近距離にいた。


心臓が高鳴る。
先生は黙っていた。
この部屋からは廊下の音は聞こえない。
誰が近づいてきたのかも、
そしてもう通り過ぎてしまったのかどうかも分からなかった。

彼を、見上げる。

こうして側で立っていると、田崎はだいぶあたしより背が高い。
「先生…」
私の言葉を受けるように、田崎が私を見る。
手が、そっと……私の髪に触れた。


「『良くなかった』なんてこと、ないさ…」

小さな声で田崎が言った。
ドキドキが大きくなる。
田崎の唇が、あたしのおでこに触れる。
「せんせ……」
あたしは石になったみたいに、固まってしまう。

自分の体が、こんな風になってしまうなんて。
体中が何かを期待して、真ん中から熱くなる。
それに反応するように、腕が脚が、自分の意志で動かなくなる。
彼の唇が触れたおでこに、全ての意識が集中してしまう。
田崎の、息を感じる。

「あっ!…」

思わず声をあげてしまう。
田崎の手が、私の太ももに触れたからだ。
「…イヤだったら、言えよ」
強いけど優しい口調。
イヤなわけない。
先生に初めて触られた日から、ずっと、先生のことばかり考えていた。
田崎が少し体を離す。
彼は眼鏡を外して、白衣の胸ポケットに入れた。

この目。

一重に見えるけど、ホントは奥二重なんだ。なんて感心したりして。
あたしは彼の目にどう映っているんだろう。
「あぁんっ…」
田崎の顔が私の耳に近づいて、耳たぶを舐める。
あたしは首元がぞくぞくして体を震わせてしまう。
(あ…)
田崎の手のひらが、内ももの方へ移動する。

(あたし、どうされちゃうんだろう…)

こんなとこで?学校で、…それも先生に…。
(したい…)
恥ずかしい期待感で、自分の中からトロっと何かが出てくるのが分かる。
「んんっ!」
田崎の指が、あたしの敏感な部分を下着の上から触る。
「梶野」
「えっ…」

「スカート、持って」

「えぇっ…」
なんのことか分からなくて、あたしは自分のスカートの端をただ掴んだ。
「手、上に上げて」
「え…」
あたしはスカートを持ったまま、少しだけ腕を上げる。
元々しゃがんだら見えちゃうぐらい短いスカート丈。
少し持ち上げただけでも、…下着が見えてしまう。
「もっと、胸の方まで」
「あ…」
田崎に促されて、あたしはグレーのプリーツスカートの裾を持ったまま、
自分の胸のあたりまで持ち上げる。
「いやぁ…」
スカートは完全にまくれあがって、あたしのショーツが丸見えになる。
「イヤだったら、やめるよ」
更に優しくなった声が、言う。
絶対イヤじゃないのが分かってて、言ってるんだきっと。
あたしは首を振った。
きっと先生の思うがままだ。

「あぁっ、…えぇっ?!」

田崎はあたしのショーツを下げる。
「だっ…ダメっ」
こんなとこで、いきなり自分のこんなところが露になって、あたしは恥ずかしいよりもまず驚いてしまう。
あたしは自分を隠そうとすると、田崎に手を止められた。
「両手は、そのままにして…」
「……」
彼に言われるまま、あたしは胸の辺りでスカートの裾を持ちながら両手の指をギュっと握った。
いくら薄暗い部屋だって、恥ずかしくて死にそう。
膝の辺りまでショーツを下げられて、自分で自分のスカートをめくっている格好になってる。
これじゃまるで、自分から「して」って言ってるみたいだ。

田崎はあたしの前にしゃがみこんだ。
「あっ!…やぁぁんっ!」
彼は両手であたしのそこを少し広げるようにして、隙間に舌を滑らせてくる。
「はぁっ、あぁぁんっ」
あたしは体にスイッチが入れられたみたいに、ビクビクと動いてしまう。
「あ、は、…あ、あぁぁんっ」
「大きな声、…出さないで」
田崎が冷静な声で言ったけど、すぐにまたあたしに口をつける。
「ふっ…、うぅぅ、んんっ…」
あたしの敏感なとこ、田崎の柔らかい舌でどんどん感じてきてしまう。
(も…、すごい、気持ちいい…あぁぁん)
「うぁぁぁんっ!」
彼は指であたしの入り口を探す。
あたしは、彼に舌をぴったりくっつけられて前後に動かされて…
田崎を見ると、時々彼の舌が見えた。
それがすごくいやらしくって、あたしはますます興奮してしまう。

「はぁ、…んんっ、ん、んんっ…」

指が入ってきた。
「んんーーっ」

(ダメダメ…、そんなのダメだよ…)

指を奥まで入れられて、中の感じるところをずんずん押されてる。
その間も、彼の口はあたしに吸い付いたまま。
(すごい…、気持ち、良すぎ…)
「はぁ、はぁ、…んぅっ、んっ…んんっ…」

ピチャピチャ…

部屋にあたしから漏れる声と、あたしから出る音が響く。
そんなとこ、そんなに吸ったらダメだよ…
「せん、せっ…、は、…もぅ…立てないよ…」
田崎が一瞬あたしから口を離す。
「ちゃんと立って、…立ってないとできないよ」
そしてまたあたしに戻る。
「うあ…、だ、…だめぇ…んんっ…」
彼の指があたしの中から熱い液体を掻き出す。
もう太ももの方まで、濡らしてしまっていた。
「やっ、…んあぁぁっ…」

あたしは足がガクガクして、今にも座り込んでしまいそうだった。
脚を踏ん張って、つま先に力を入れる。
背中へ体重をかけて、なんとか立った姿勢を保つ。
その姿勢が、ますますあそこへの感覚を強めて、余計に感じてきてしまう。
「うぅっ、…う、…はぁ、んぁ…」

スカートを持つ手に力が入る。

「は、…、あ、あ、…も、…だめ…せんせっ…」
田崎の舌が敏感なところにもっと絡んでくる。
あたしの中に入っている彼の指も、更に動きを早めた。
(あ、あ、…もう……先生に、また…)

「あ、うぁっ、…、あぁぁぁぁんっ!」


外側でなのか、中でなのか、両方なのか分からないまま、
あたしはまた田崎に真っ白にされた。

 

ラブで抱きしめよう
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