タバコの匂いがする。
それと、苦い整髪料みたいな。
あたしの普段の生活には縁のない匂い。
それから、消毒液みたいなこの部屋の匂い。
薬品室の窓はしっかりブラインドが下がっていて、だいぶ日が長くなっているのにこの部屋はもう薄暗かった。
ここは普段、生徒が出入りすることができない。
戸棚ばかりの狭い部屋の中で、あたしは壁に背をついていた。
田崎に引っ張られて入ってきたから、彼とは至近距離にいた。
心臓が高鳴る。
先生は黙っていた。
この部屋からは廊下の音は聞こえない。
誰が近づいてきたのかも、
そしてもう通り過ぎてしまったのかどうかも分からなかった。
彼を、見上げる。
こうして側で立っていると、田崎はだいぶあたしより背が高い。
「先生…」
私の言葉を受けるように、田崎が私を見る。
手が、そっと……私の髪に触れた。
「『良くなかった』なんてこと、ないさ…」
小さな声で田崎が言った。
ドキドキが大きくなる。
田崎の唇が、あたしのおでこに触れる。
「せんせ……」
あたしは石になったみたいに、固まってしまう。
自分の体が、こんな風になってしまうなんて。
体中が何かを期待して、真ん中から熱くなる。
それに反応するように、腕が脚が、自分の意志で動かなくなる。
彼の唇が触れたおでこに、全ての意識が集中してしまう。
田崎の、息を感じる。
「あっ!…」
思わず声をあげてしまう。
田崎の手が、私の太ももに触れたからだ。
「…イヤだったら、言えよ」
強いけど優しい口調。
イヤなわけない。
先生に初めて触られた日から、ずっと、先生のことばかり考えていた。
田崎が少し体を離す。
彼は眼鏡を外して、白衣の胸ポケットに入れた。
この目。
一重に見えるけど、ホントは奥二重なんだ。なんて感心したりして。
あたしは彼の目にどう映っているんだろう。
「あぁんっ…」
田崎の顔が私の耳に近づいて、耳たぶを舐める。
あたしは首元がぞくぞくして体を震わせてしまう。
(あ…)
田崎の手のひらが、内ももの方へ移動する。
(あたし、どうされちゃうんだろう…)
こんなとこで?学校で、…それも先生に…。
(したい…)
恥ずかしい期待感で、自分の中からトロっと何かが出てくるのが分かる。
「んんっ!」
田崎の指が、あたしの敏感な部分を下着の上から触る。
「梶野」
「えっ…」
「スカート、持って」
「えぇっ…」
なんのことか分からなくて、あたしは自分のスカートの端をただ掴んだ。
「手、上に上げて」
「え…」
あたしはスカートを持ったまま、少しだけ腕を上げる。
元々しゃがんだら見えちゃうぐらい短いスカート丈。
少し持ち上げただけでも、…下着が見えてしまう。
「もっと、胸の方まで」
「あ…」
田崎に促されて、あたしはグレーのプリーツスカートの裾を持ったまま、
自分の胸のあたりまで持ち上げる。
「いやぁ…」
スカートは完全にまくれあがって、あたしのショーツが丸見えになる。
「イヤだったら、やめるよ」
更に優しくなった声が、言う。
絶対イヤじゃないのが分かってて、言ってるんだきっと。
あたしは首を振った。
きっと先生の思うがままだ。
「あぁっ、…えぇっ?!」
田崎はあたしのショーツを下げる。
「だっ…ダメっ」
こんなとこで、いきなり自分のこんなところが露になって、あたしは恥ずかしいよりもまず驚いてしまう。
あたしは自分を隠そうとすると、田崎に手を止められた。
「両手は、そのままにして…」
「……」
彼に言われるまま、あたしは胸の辺りでスカートの裾を持ちながら両手の指をギュっと握った。
いくら薄暗い部屋だって、恥ずかしくて死にそう。
膝の辺りまでショーツを下げられて、自分で自分のスカートをめくっている格好になってる。
これじゃまるで、自分から「して」って言ってるみたいだ。
田崎はあたしの前にしゃがみこんだ。
「あっ!…やぁぁんっ!」
彼は両手であたしのそこを少し広げるようにして、隙間に舌を滑らせてくる。
「はぁっ、あぁぁんっ」
あたしは体にスイッチが入れられたみたいに、ビクビクと動いてしまう。
「あ、は、…あ、あぁぁんっ」
「大きな声、…出さないで」
田崎が冷静な声で言ったけど、すぐにまたあたしに口をつける。
「ふっ…、うぅぅ、んんっ…」
あたしの敏感なとこ、田崎の柔らかい舌でどんどん感じてきてしまう。
(も…、すごい、気持ちいい…あぁぁん)
「うぁぁぁんっ!」
彼は指であたしの入り口を探す。
あたしは、彼に舌をぴったりくっつけられて前後に動かされて…
田崎を見ると、時々彼の舌が見えた。
それがすごくいやらしくって、あたしはますます興奮してしまう。
「はぁ、…んんっ、ん、んんっ…」
指が入ってきた。
「んんーーっ」
(ダメダメ…、そんなのダメだよ…)
指を奥まで入れられて、中の感じるところをずんずん押されてる。
その間も、彼の口はあたしに吸い付いたまま。
(すごい…、気持ち、良すぎ…)
「はぁ、はぁ、…んぅっ、んっ…んんっ…」
ピチャピチャ…
部屋にあたしから漏れる声と、あたしから出る音が響く。
そんなとこ、そんなに吸ったらダメだよ…
「せん、せっ…、は、…もぅ…立てないよ…」
田崎が一瞬あたしから口を離す。
「ちゃんと立って、…立ってないとできないよ」
そしてまたあたしに戻る。
「うあ…、だ、…だめぇ…んんっ…」
彼の指があたしの中から熱い液体を掻き出す。
もう太ももの方まで、濡らしてしまっていた。
「やっ、…んあぁぁっ…」
あたしは足がガクガクして、今にも座り込んでしまいそうだった。
脚を踏ん張って、つま先に力を入れる。
背中へ体重をかけて、なんとか立った姿勢を保つ。
その姿勢が、ますますあそこへの感覚を強めて、余計に感じてきてしまう。
「うぅっ、…う、…はぁ、んぁ…」
スカートを持つ手に力が入る。
「は、…、あ、あ、…も、…だめ…せんせっ…」
田崎の舌が敏感なところにもっと絡んでくる。
あたしの中に入っている彼の指も、更に動きを早めた。
(あ、あ、…もう……先生に、また…)
「あ、うぁっ、…、あぁぁぁぁんっ!」
外側でなのか、中でなのか、両方なのか分からないまま、
あたしはまた田崎に真っ白にされた。