キスするような関係になるのと、セックスするような関係になるのって、
「イコール」だよなって、涼子ちゃんと付き合ってからは実感として思ってた。
キスしたい相手は、エッチしたい相手で、そしてそれは好きな相手だって、
…自然に思うようになってた。
それなのに、オレは、……堀内にキスしてる。
オレのキスを受けとめる堀内は、もの凄くぎこちなくて、
…本当に悪い事をしてるって気がした。
なのに、オレは結構興奮していた。
堀内をベッドまで連れて行く。
彼女は黙ったまま、オレにされるがままだった。
本当にバスタオル1枚で、…堀内は簡単に全裸になってしまう。
裸にされると、さすがに恥ずかしいみたいだった。
「や……」
今ならまだ止められる。
「まだ、……止められるけど…。堀内…」
オレは言った。
裸の堀内は薄目を開けて、オレを見た。
その表情が普段からは想像できないぐらい色っぽくて、
言ってしまったけどオレは止められるかどうか自信がなくなる。
「いや…、やめないで…」
堀内が泣きそうな顔になる。
さっきからずっと、不安そうにしてる。
こうしてオレを誘ったのも、ものすごく決心しての事なんだろう。
オレの中で、期待に応えないといけないという気持ちと、真剣に好かれてるからこそ、こんなことしていいのかって気持ちと、真逆の感情が相対していた。
彼女の体の動き、全てが固くて、…なのに触れた感触は柔らかくて、
涼子ちゃん以外の女の子に初めて触るオレはやっぱり興奮していた。
自分が男なんだなって、実感してしまう。
小さい堀内の体。胸も手のひらですっぽりと包み込めるぐらいの大きさだった。
涼子ちゃんよりも、全てが少女のような体。
こうして他の女に触れながら、頭の片隅で涼子ちゃんの事を考えてしまう。
違う感触、違う反応……そんな風にして涼子ちゃんと比べてしまいながらも、体の方は反応してしまっていた。
オレは堀内の脚を割って、その部分に触れた。
堀内はほとんど声も出さないで、ただオレの行為を受け入れる。
彼女のそこは肉づきが薄くて、予想以上に渇いていた。
「………」
オレ自身も、処女の女の子とするっていう事を実感してきて、急激に緊張してしまう。
彼女の脚を開く。
「……やっ…」
軽く抵抗する脚を、更に開いた。
「…………」
堀内は固く目を閉じていた。
オレは堀内の、その部分を舐めた。
薄いひだの間を、舌で割る。
「やだっ……、藤田くんっ……そ、そんなっ…」
触れた瞬間、彼女の体が動く。
両手がオレの頭へ伸びた。
「こうしないと……、入れられないよ…」
「…そう、なの…?」
本当に泣きそうになって、堀内が言った。
女の子って、反応が全然違うんだなって、オレはつくづく思った。
涼子ちゃんと堀内が、違いすぎるのかも知れないけど。
堀内は、オレが舐めてもあんまり濡れてこなかった。
オレは女の子が感じると思う部分をできるだけ舌で刺激する。
反応を見ながら少しずつ指でも触っていく。
ほんの少しの湿り気を頼りに、指を入れるだけでも結構時間がかかった。
堀内の中は狭そうで、1本しか入れていない指を出し入れするのも苦労した。
オレはできるだけ唾液を出すようにしながら、彼女を舐めた。
中の方で少し動かす。
「あ…、…んぁんっ…」
堀内が小さく声を出す。
それも、気持ちが良くて出しているのか、反応として出てしまっているのかがよく分からない。
何とか入りそうなぐらいまで濡れると、オレは普段はしないコンドームをして、
堀内の間に体を入れる体勢になった。
「ホントに、……いいの?」
オレは確認した。
だけどこの状態で、ダメだって言われてもどうしようって感じだったけど。
「うん……」
堀内はずっと目を閉じたままだった。
オレはその位置に自分のものを当てると、少しずつ力を入れた。
「あぁっ!」
初めて堀内が大きな声を出す。
「…痛い?」
まだ全然入ってなかった。
ホントに少し、…力を抜くと、すぐに体が離れてしまうぐらいに。
「……」
彼女は首を振った。
オレはもう少し堀内に近付く。
彼女の入り口はすっごく固い感じで、『拒絶されてる』っていう表現が一番ぴったりきた。
オレは更に入っていく。だけどほんの少しだ。
「あぁぁぁんっ!」
堀内が辛そうな顔をする。
オレまで痛くなるんじゃないかと思うぐらいキツい。
何だかオレはだんだんと可哀想な気分になってくる。
オレが、こんなことしていいのかって思う。
やっぱりちゃんと、付き合った相手と…こうした方がいいんじゃないかって思ってくる。
「痛いでしょ…」
オレは言った。
「…やめないで…藤田くん……お願いっ…」
まだほとんど入っていなかった。
だけど堀内は本当に辛そうで、何だか見てるオレも辛い気持ちになってくる。
そんなオレが奥まで入って、動けるんだろうか。
急に涼子ちゃんを思い出す。
もしも涼子ちゃんが処女だったら、オレは戸惑いながらも頑張って結ばれるように努力しただろう。そして涼子ちゃんが処女だったことに、…多分オレはすごく喜んだんじゃないかって思う。
「堀内……」
オレは堀内から体を離した。
「ごめんな…」
「……藤田くん…」
堀内とこんな風に最後までしても、しなくても、彼女を傷つける事は分かってる。逆にここまでして、途中で止めてしまう事は彼女のプライドを傷つけるかもしれない。
だけど、…同じ傷つくなら、…今ここで止めた方が絶対いい。
「やっぱ、…オレ、……ダメだよ」
実際オレは既に萎えていた。
堀内がどうこう、とかも勿論あるけど、…やっぱり涼子ちゃんの事ばかりを考えてしまう。
体が興奮しても、心で抱きたいのは涼子ちゃんだ。
そんなオレが、一人の女の子の初めてを奪ってしまうなんて、
…できなかった。
「藤田くん…」
堀内は、できないオレを察知したみたいだった。
「……ごめんな」
オレは繰り返して言った。
「……」
堀内が泣いてしまう。
「あたしこそ…、…ごめんなさい…ムリ言って」
ホテルを出たら、もうかなりの時間だった。
駅のホームで二人で電車を待った。
「時間……大丈夫?」
オレは堀内に言った。
「うん……藤田くん…」
「……」
「今日は、ごめんなさい……」
「……オレこそ、ごめん……」
出来なかった事がごめんなのか、ホテルに行った事がごめんなのか、オレが途中で止めた事がごめんなのか、…とにかく色々な思いが交錯した。
「だけど……ありがと……」
「……堀内…」
オレは堀内と、そうなりかけた事を後悔してたけど、彼女は違ってたみたいだった。
堀内の表情は思ったよりもずっと明るかった。
電車の中で、特にオレたちは会話もしなかった。
堀内が降り際に、言った。
「受験、頑張ろうね」
「うん」
オレは頷いた。
電車のドアが閉まる。
堀内はホームに立ったまま、オレに少し笑顔で手を振ってた。