ラブで抱きしめよう

13☆ 涼子ちゃん

   

堀内とあんな事があって、オレはなんだか余計に涼子ちゃんが恋しくなってしまった。
そう思ったら、会いたくて会いたくて、
…今までガマンしてた分も爆発しそうになってくる。
オレは制服を着て、いつもどおりに家を出た。
そのままその足で涼子ちゃんのマンションへ向かう。

駅に着いたら涼子ちゃんに携帯で電話を入れる。 
話しながら、すぐにマンションに着いてしまうぐらい、涼子ちゃんの家は近い。
オートロックを開けてもらって、彼女のところのフロアまでエレベーターで上がる。
ドアの前で、チャイムを押そうと思ったそのときに、もうドアが開いた。

「太郎くんっ!うわ〜〜〜〜〜いっ!」

涼子ちゃんが飛んできて、顔もよく見えないうちにオレに抱きつく。
「おはよー……涼子……」
オレもぎゅって涼子ちゃんを抱きしめる。
彼女もオレにまた強く抱きついてきた。
「とりあえず、上がらせて…」
オレは言った。
「あぁ、…そうだね」
笑いながら涼子ちゃんは体を離す。
上下白のスウェット姿の彼女は、「家にいる」って感じで、すっごく可愛い。
涼子ちゃんはスニーカーを脱いでるオレをじっと見てた。

「制服〜〜〜。太郎くん。……カワイイ〜〜。久々に見たよ〜〜」
涼子ちゃんはすっごく嬉しそうに笑ってる。
「だって学校行く事にして、家、出てきてるしさ…」
オレはちょっと照れて言った。
時々涼子ちゃんの前で制服でいることが、ナゼかむしょうに恥ずかしくなる時がある。

「あーすっごいいい匂い」
「太郎くん、コーヒー好きだから、入れた。朝だし」
リビングに入って、オレはカバンを適当に置いた。
厚いコートを着てたから、それをすぐに脱ぐ。
「あ、そこにかけといてね。いつもんとこ」
涼子ちゃんちは廊下の壁にハンガーがある。
オレは一旦リビングを出て、服をかけた。
もう一度部屋に入りなおすと、涼子ちゃんがコーヒーを入れていてくれた。
「ねぇー、ゴハン食べてきた?」
「食べたよ」
オレは答えた。
「私、今から食べていい?」
「いいよ、全然」
テレビにはまだ朝の番組が映ってる。何だかオレは嬉しくなる。

涼子ちゃんを押し倒して前に犯しちゃったテーブルに、コーヒーが乗ってる。
テーブルには4つイスがあったけど、オレは涼子ちゃんと並んで座った。
涼子ちゃんは横にいるオレを見て、にこって笑う。
「涼子、今、すっぴん?」
「そうーーー。なんか昨日興奮して寝れなくって…。実はさっき起きたとこ…」
「すっぴんでも、全然カワイイよなぁ…」
オレはしみじみそう思う。
化粧してる涼子ちゃんはやっぱり年相応に大人っぽいけど、素顔だとちょっと幼くなる。
それがオレにとってはすっごく可愛い。
「どうせ化粧とれちゃうしさー……もう素顔なんてしょっちゅう見られてるし、いいかなぁーって思って。ブサイクでごめん」
ちょっと顔を隠してオレを見る涼子ちゃん。
「だから、全然ブサイクじゃないって」
もうガマンできなくなって、涼子ちゃんを座ったまま抱き寄せる。
自然に唇が触れる。

やっぱこの感触だよな……

涼子ちゃんに会って、 昨日オレと堀内の間にあったことがもうずっと前の事のような気がした。
昨日の出来事、すごく現実感がない。
涼子ちゃんを裏切ったんだろうか、オレは。
こんなに大好きで、好きでたまらない彼女を。
昨晩ずっと抱いていた罪悪感、最後までしなくて良かったと改めて思う。
それでも堀内に触れてしまった。
(ごめん、涼子ちゃん…)
今更に猛烈に反省する。
何も知らない涼子ちゃんの笑顔を見ると、ものすごく悪い事をしたんだなと思う。
(ホントにごめん、涼子ちゃん…)
もう絶対流されて、あんな事はしないと改めて心に誓った。

「太郎くんに会えてうれしいな」
ニコニコとオレに話してくれる彼女。
「なんかさ、…試験前には、涼子ちゃんとたっぷり会ったりするの、ガマンしないといけないような気がしててさ…」
言い訳みたいに、オレは言った。
「なんで?」
不思議そうに涼子ちゃんが聞いた。
「そんな、1日や2日、どうやって過ごそうと、……もう本人次第だと思うけど?」
涼子ちゃんがバシっと言う。
「そうなんだよな…。なんか、今頃になって、…気がついた」
「おそー」
涼子ちゃんが笑った。
受験前だって普通に女と付き合ってる須賀とかを見ちゃうと、オレってなんだか要領が悪いよなぁって思ってた。
「もう、さぁ、…体調整えて、精神的にいい状態でいるっていうの、そういうの最優先でいいんじゃないのかな?」
涼子ちゃんがオレの手を握る。
「そうだな…」
オレは頷いた。
涼子ちゃんはオレよりもしっかりしてるところがやっぱり沢山あって、特に考え方とかはそう感じるところが多くて、その都度、オレはまだまだガキだなぁって思わされる。
昨日の事と言い、オレは本当にまだまだガキだ。


「大好きだよ、太郎くん」

そう言った涼子ちゃんの笑顔は、ホントに女神みたいだった。
「愛してる、太郎くん」
「………」
オレって昨日何してたんだろって、ホントに思った。
ちょっと涙出そうになりながら、オレはまた涼子ちゃんを抱き寄せた。



涼子ちゃんはゴハンを食べるのが遅い。
だけど、今日はいつもよりもすっごく遅い感じがする。
「そんなに、見ないでよ……」
オレは隣で、これ以上くっつけないギリギリまでイスをくっつけて、涼子ちゃんの左手を握ってた。
片手だけでパンとか食べてるから、確かに涼子ちゃんはいつもよりも食べるのが遅かったかもしれない。
オレは早く涼子ちゃんをちゃんと抱きしめたくって、ずーっと横でウズウズしてた。
「もう、…後で食べる」
涼子ちゃんがとうとう言った。


涼子ちゃんの部屋のベッドで、すぐにオレ達は裸になる。
彼女を触ると、もうすでにかなり濡れてた。
オレはその事をすごく嬉しく感じる。
涼子ちゃんはいつもオレの前で濡れてるけど、濡れるのって、普通は当たり前じゃないのかもしれないって改めて思う。

「なんで……もうこんなになっちゃうの?」

オレは涼子ちゃんに言った。
涼子ちゃんはオレのものをゆっくり触りながら、答える。
「太郎くんが、…こんな風になってるのと、おんなじ…」
オレを見つめて少し笑う涼子ちゃん。
オレ達の動作は全てが自然で、求め合うっていうのはこういう事なんだなって思い知る。

「ごめん……、もう、…すぐ入れちゃってもいい?」
オレは涼子ちゃんに聞いた。
「うん…私も、…そうして欲しい……」


涼子ちゃんにキスする。
唇は勿論、涼子ちゃんの舌も、頬も、あごも、首も…。
触れ合っていたお互いの性器が自然とちゃんとした位置で重なって、
手を触れなくてもオレは涼子ちゃんに入っていく。
柔らかい涼子ちゃんの中は、それでいてギュっとオレをしっかりと掴む。
目の前にある涼子ちゃんの可愛い顔を見ているだけでも、オレはすぐに一方的に高ぶってしまう。

「太郎、くん……」
こうしてるとき、涼子ちゃんに名前を呼ばれるのが好きだ。
「涼子ちゃん……」
オレも彼女の名前を呼ぶ。
涼子ちゃんはオレの頭に腕を回して、オレを抱きしめてくれる。


オレは、やっぱり涼子ちゃんじゃないとダメだ。

 

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