ラブで抱きしめよう

2☆ 彼氏

   

私は平日は専門学校に行ってて、時間が空いてるときは学校の友だちの紹介で洋服屋の売り子してる。時給は安かったけど、そのブランドの服が安く買えたり、そのビルに入ってるお店もちょっとお値打ちになったりと、洋服好きな私にはちょうどいいバイトだ。

太郎くんとは以前ほどしょっちゅう会えてない。
「絶対ストレートで合格する!」
とか言って、鼻息を荒くしながら勉強してる。
だから今、太郎くんと会える時間は、私にはすっごく貴重なんだ。
 

「男の子、珍しい…」
店長の山中さんが言う。店長といっても彼女はまだ24歳だ。
私は顔を上げて、店の入り口を見た。
「太郎くん♪♪」
太郎くんが制服姿で、そこに立ってた。
「うっそ〜〜〜♪♪ちょ〜〜〜〜〜嬉しい〜〜〜〜♪♪」
もうすぐ閉店で、お客さんは太郎くんの他にいなかった。
私は平気で太郎くんに抱きつく。
「なんで?どうしたの?今日は予備校は?」
「自習になったから、ブッチしてきた」
「そうなんだ?これからちょっと時間あるの?」
私は太郎くんの手をギュっと握った。
太郎くんはそんな私を見て、優しく笑い返してくれる。
この笑顔、だーーーーい好き。
「そんな遅くまではダメだけど、晩御飯ぐらいなら」
嬉しくなって跳ねながら、私は振り返った。
店長は私たちのやりとりをずっと見ていて、居心地悪そうにしてた。
「いいよ。今日はこんな感じだから、閉店作業しておくから。
上がっちゃってください」
さんきゅー店長♪♪
「すみません♪♪じゃ、お先です♪♪」
『日頃の行い』って、良くしておくもんだなぁって、今しみじみ思った。

「更衣室に荷物取りに行くから、3階のエスカレーターの辺で待ってて」
私はそう言ってロッカーに急ぐ。
やったあ。今日はどうしようかな。
荷物を取ってすぐに太郎くんのところへ向かう。
遠目から見る太郎くん。
久しぶりに制服姿を見た。
私と付き合いだした頃よりも随分すらっとしてる。
それから、凄いカッコ良くなった。垢抜けたって感じ。
元々少し茶色い髪。今は部活辞めてるから、ちょっと伸びてる。
それもナチュラルな感じで、すごくカワイイ。
「おまたせ〜」
目が合うと、いつもすぐに近付いて手を握ってくれる。
そういうとこも、すっごい大好き。
「どうする?何も考えてこなかったけど」
太郎くんはそう言って歩き出す。そのままエスカレーターに乗る。
私達の他には誰も乗ってない。
昇りと下りがすれ違う辺りで、太郎くんは私にキスした。

キスされると、もっともっとキスしたくなる。
そうしたら、やっぱり色々触って欲しくなってきちゃうし、結局は欲情してしまう。 
「太郎くん、10時には帰らないとまずいよね」
もう7時前だった。
私は太郎くんに寄り添う。
太郎くんはかなり背が伸びて、私の頭は太郎くんの肩に付く。
前は、顔と顔って感じだったのに。
それも嬉しかったけど、身長差があるのも嬉しい。
抱きしめられるとき、守られてるって感じがするから。
「ねぇ、やっぱりうちに来ない?ゆっくりできるし」
「…そうだね」
太郎くんは今度はおでこにキスしてくれる。
あーもー1日中、体中にキスされたいよ。

私たちは途中のコンビニに寄って、そのままうちへ向かった。
「夜、ダイブ寒くなったよね」
私はジャケットを脱いだ。
洋服屋でバイトしているせいで、季節に敏感な服を着なくちゃならない。
今日は足元はブーツだったし。
これぐらい寒くなって、やっと私にはちょうどいい気温になる。
「涼子〜、これ、ここ置いていい?」
太郎くんは買ってきたコンビニの袋をリビングのテーブルの上に置く。
「うん、なに飲む〜?あったかい方がいいかなぁ〜」
「いい、いい、とりあえずコレ飲む」
太郎くんは袋から500ミリペットのウーロンを出してキャップをひねった。
「お母さん、何時ごろ帰って来るの?」
太郎くんが言う。
「相変わらず9時頃かなぁ〜。太郎くん、9時半ぐらいまでうちにいられる?」
彼はゴクゴクウーロンを飲んでる。
「大丈夫だよ」

とりあえず着替えようかなぁ…と思って、ウロウロしてたら
太郎くんに後ろから抱きすくめられる。
「やーん」
「涼子……会いたかった」
嬉しい…。
こんな風に急に会いに来てもらえるのって、ホントに超嬉しい。
私は太郎くんの方に向き直る。
「会いに来てくれて、ありがとー。すっごい嬉しかった、太郎くん〜」
そのまま自然にキスする。
私はリビングのテーブルに寄りかかる体勢になる。
太郎くんが私に体重をかけてくるから、私はテーブルに手をついてしまう。
深いキスが何度も繰り返される。
そうしながら、太郎くんは私の服に手をかけていく。
「んん……」
どんどん脱がされて、気付いたらブラとパンツになってた。

「太郎くん、ゴハン食べなくていいの?」
私は太郎くんを見上げた。
「うん。後にする。とりあえず、お母さん帰ってくる前に…」
その先は言わないでも分かる。
手を後ろに廻されて、ブラも外される。
太郎くんは全然脱いでない。
「あぁぁんっ……」
自分でもヘンだなぁと思うけど、私はおっぱいもすっごく感じてしまう。
前に太郎くんにおっぱいばっかりされて、それだけでイってしまうんじゃないかって事もあった。
特に先っちょを触られるのがダメ。くすぐったくって逃げ出したくなる。
「あん、あ、あんっ…、あ、…あぁっ…」
両方の乳首の先だけを触られて、私は余計に敏感になる。
「ダメだよ、太郎くん…あっ、…ソレ、ダメだってば…」
そう言えば言うほどされちゃう。
もっと色んなところを触って欲しくなって、焦れったくって、ゾクゾクしちゃう。

「やぁぁんっ」
太郎くんが私の片足を持ち上げる。
支えている手がしんどくなってきて、私はテーブルに背をついてしまう。
太郎くんがコンビニの袋をよける。
彼にパンツも取られてしまう。
こんな明るいまんまの部屋で、いつもゴハン食べてる食卓なのに。
私は完全にテーブルに仰向けにされて、太郎くんに両足を上げられる。
裸でテーブルに乗っている自分が恥ずかしい。
「う、…うぅぅんっ…」
太郎くんが私を舐める。
いやん、こんなところで食べられちゃう…

太郎くんに促されて、私は自分の足を自分で持つ。
こうすると、まるで自分が「して」って言っているみたいで凄く恥ずかしい。
それに、もろに見えてるし…。
「う、あぁぁんっ…」
太郎くんが私にゆっくり指を入れてくる。

彼には私の感じるポイントがバレていて、いつもすぐにイかされてしまう。
今日はその指の動きがいつもよりも激しい。
「あぅっ、…んんっ、あ、あぁっ!」
自分がグチュグチュいう音が、すごく聞こえる。
何でこんな音が出ちゃうんだろう。
どうしてこんなに溢れてきちゃうの…
「あっ、ダメっ、…あ、あ、あ、…んあっ、…」
そんなに動かしたら、ダメだよ…
「うぁっ……い、いっちゃうっ…」
「いいよ、イって…涼子」
グチャグチャって音が更に早くなる。
「あぁぁぁんっ、あぁぁぁっ!」
体をひねると、横にコンビニの袋が見えた。

太郎くんはほとんど服を脱がないまま、私に入ってきた。
食卓の上で、入れられちゃった。
「あぁん!…あ、あぁんっ!」
こんなことしたら、ゴハンを食べるたびに思い出しちゃう。
どうしよう…凄い気持ちいい…
太郎くんがすっごく固いのが分かる。
私は益々興奮してきちゃう。
「た、…太郎くぅんっ…」
私は太郎くんに手を伸ばす。
その手を太郎くんに捕まえられて、彼はもっと激しく動く。

奥の方がジンジンして、もう、イッちゃうかもって時に、太郎くんは私から抜いた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
私はイききれなかったけど、あそこはすごい余韻が残ってた。
それはそれで、まだ凄く気持ちいい。
もう太郎くんは入ってないのに。
太郎くんが出したものが、私のおなかの上からテーブルへとこぼれてしまう。
「あぁ!ごめんっ!」
太郎くんはカウンターにあったティッシュを取る。
「はぁ…はぁ…」
私はまだビクビクしてた。
「大丈夫…?涼子」
「うん…」
太郎くんに手を引っ張られて、私はテーブルから起き上がった。
私がいた辺り、端からだいぶ濡れていた。
硬いテーブルの面に、ちょっと何かをこぼした位の水の跡。
私が出しちゃった分と、太郎くんが舐めた唾液と。

私は着替えて、テーブルもちゃんと拭いた。
なんとなくそこで食べるのは…って気がして、ソファーの方に二人で座る。
「毎日こうやって会えればなぁ」
私は言った。
会えないのが1日だってさびしいのに、一週間とか、10日とか、我ながらよく耐えてると思う。
太郎くんはコンビニのおにぎりをビリビリしてる。
お弁当を買っても、おにぎりを食べちゃうなんて、やっぱ男の子だなぁ。
「会いたいけど…。今こうしないと、もっと会えなくなりそうだし」
太郎くんが私を見る。
「うん。分かってるよ」
でも理屈と感情って別なんだよね。それが辛いんだけど。
「ただでさえ年下なのに、これ以上学年離れたくないし」
「それは、そうかなぁ…うん。しょうがないから頑張ってね♪太郎くん」
太郎くんは私の手を上から強く握って笑った。

太郎くんがまだ高校生っていうの、やっぱり年齢差を感じてしまうときが正直ある。
私が着なくなった制服。まだ彼は現役で着てる。
私が「懐かしい」と感じるものが、彼にはまだ「日常」なんだ。


「太郎くん、お久しぶり」
リビングでテレビを点けてマッタリしてたら、母が帰ってきた。
9時前。思ってたよりも帰りが早かった。
良かった。最中に帰ってこられなくって。
「こんばんは〜。お邪魔してます」
「ちょうど良かった。今日会社で美味しい紅茶をいただいたのよ」
母は荷物をその辺に置いて、キッチンに向かう。
「あー、手伝うよ」
私もキッチンに行く。
紅茶の袋を開けると、甘いフルーツの匂いがする。
「うわー、すっごいいい匂いするね!これ」
「そうそう、私が紅茶好きって言ったら、女の子がくれたの
わざわざ買ってきてくれたんだって」
母は会社で、その若さで高校卒業してる娘がいることで何だか事務の女の子のカリスマっぽくなっているらしい。昔はただのヤンママだったくせに。
私はちゃんとカップを温めて、紅茶のポットにお湯を入れる。
「こっちで飲む?」
母が私に言う。
こっちっていうのはテーブルの方だ。
「う…うん」

母親とお茶する。
テーブルを挟んでバツが悪かったのは、私だけじゃなかった。 

9時半になった。
母が送るって言ってたのに、太郎くんはまだ早いからって電車で帰る事にしたみたい。
「私、そこまで送ってくる」
太郎くんと一緒に、マンションの下まで行く。
やっぱりもう寒い。ジャンバーを着てきて良かった。
「さっき、何か照れなかった?」
太郎くんが言う。
「うん……私、しばらく毎日思い出すよ」
別れるとしばらくまた会えなくなる。私は自然と一緒に駅まで向かう。
「涼子は手があったかいな」
「うん」
私の手を握る太郎くんの手にちょっと力が入る。
「冬、すっごい気持ちいいんだよな…涼子」
「そう?」
「うん。やっぱり抱き合うのって冬の方が嬉しくない?あったかいし」
「でも、最中は結構寒いよ」
私は答えた。
太郎くんはちょっとビックリする。
「うそ、いっつも寒かった?」
「ううん、普段は大丈夫だけど」
私は笑顔で返した。
もう駅が見える。
ホントにあっという間に着いちゃう。
太郎くんが立ち止まる。
「ありがと、涼子。送ってくれて」
「ううん。…今日、会えたの、すーっごい嬉しかった」
私はホントに嬉しかった。
お互い立ち止まったまま。太郎くんは駅に向かわない。
繋いだ手も離せない。
「…涼子…」
彼の声で私は顔を上げる。
「家まで、送ってくわ」
太郎くんが言う。私たちは笑った。
「キリがないよね」
そしてまた今来た道を引き返す。

離れられなくて、今までも何度もこの道を往復した。

太郎くんが帰ってしまっても、私の気持ちはいつまでも彼から離れられない。
会えない時間がとっても不自然で、私は太郎くんの側にいるときだけが、
自分の気持ちと体が一つになっているような気がする。
それ以外の時間は、大体うわの空なんだ。
 

ラブで抱きしめよう
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