ラブで抱きしめよう

☆4 昼休み

   

太郎くんと、珍しく昼休み一緒に過ごした。
こんな風に一緒にいると、毎日こうしたくなる。
2人で屋上の端っこにいたら、午後の授業をサボりたくなってきた。

って、ことで、もうチャイムは鳴っちゃった。
屋上には誰もいなくなって、私たちは排気口がびゅうびゅう音を立ててる壁際の段のところに隠れるように座った。

「太郎くん、今週携帯買いに行こうよ」
「うん…って、すぐ買えるの?」
「弟と声そっくりなんだもん。家の電話、ヤだよ〜」
私たちはすぐ横でくっついて座ってる。ずっと手をつないで。
6月の終わりの外はもう暑くて、日陰になったこの場所はうるさかったけど涼しくてちょうど良かった。
「…そっくりかなぁ」
太郎くんは私を見る。
私はうなづいて、笑う。
自然に顔が近づいてきちゃう。

「……」

キスをし始めるとき、太郎くんは遠慮がちに唇に触れてくる。
その柔らかさがたまらなくて、一瞬で私の心拍数は上がってしまう。

私が太郎くんの唇を少し舐めると、太郎くんも私の舌を舐める。
目を閉じたまま、太郎くんの舌で唇が開かれるのを待つ。
太郎くんの舌の熱さを感じながら、私は自分の唾液を飲み込む。
太郎くんの唾液かもしれない。
混ざってるならそれも嬉しかった。

「んー…」

私の歯の裏、もっと奥まで、彼の舌が入ってくる。
私は、自分のもっともっと奥が熱くなっていくのを感じる。
心臓の音が自分でもはっきりわかる。
もっともっと、太郎くんに近付きたい。
「はぁ…」
私は唇を離した。
太郎くんの頬に、自分のおでこをくっつける。

「太郎くんと、エッチしたい…」

私は思わず言ってしまった。太郎くんの体がビクっとなる。
「え!ここで???」
その突っ込みに、思わず私は笑ってしまった。
「ち、が、う、よ!も〜。…いいけど、でも違うの!」
ホントはここでしちゃったっていいぐらいだったけど、2人の初めてのセックスがこんな落ち着かないとこはイヤだったし。

太郎くんが肩の力を抜いた。
「ビックリした…は〜」
太郎くんは真っ赤になってる。

「太郎くんは、エッチしたことある?」
「えっ」
益々真っ赤になってくる。
「……ないよ…」
「ホント!やったぁ!」
私は思わず嬉しくて大声を出してしまう。
男の人が処女を奪いたいっていう気持ち、すごくよく分かる。
「なに?嬉しいの?」
太郎くんがちょっとムっとしながら言った。
「嬉しいよ〜〜〜〜〜♪やった〜〜〜」
私は太郎くんの手をギュっと握った。
そのまま、自分の頬に当てる。
太郎くんと目が合う。

私は、太郎くんの指を、そっと舐めた。
そんな私を、太郎くんがじっと見てる。

「涼子ちゃん…」
太郎くんがドキドキしてるのが分かる。私もすごくドキドキしてる。
「ねえ、太郎くん…」
「……なに…?」
「あのね…」
私はもうさっきから、タイヘンな事になってる。
「ここ、触って…」
私は握っていた太郎くんの右手を、そっと下ろして自分のスカートの方に持っていった。
「……」
そして、スカートの中、そして下着の中に、入れた。

「…触って…」
太郎くんの指が、直接私に触れた。

「え…涼子ちゃん…」
太郎くんは本当に驚いてた。
驚かれるぐらい、私はもうぐしょぐしょになっていた。
「だって…、太郎くんが…、太郎くんといると…」
私が言いかけてる時、太郎くんの指が少し動いた。

「あぁんっ!」

ちょっとの刺激でも声が出ちゃう程、恥ずかしいけど欲情してしまってた。
(太郎くんとエッチしたい…)
心の底からこみ上げてくるその衝動と同じぐらい、私の中からもあふれ出てしまう。
太郎くんに、触って欲しくてたまらなかった。

「涼子ちゃん…」
太郎くんが少しずつ指を動かす。
その触り方がキスするときの太郎くんみたいで、柔らかくて、気持ちよくて…
「はぁんっ…、うんっ…」
太郎くんの指が動く。
太郎くんは私を確認するみたいに、あちこちまで指を滑らせる。
「あっ、はぁぅっ…」
私は体重を太郎くんに預けるような格好になって、左手で抱きかかえられながら愛撫を受けた。
太郎くんのヌルヌルになった指が、私の間を撫でる。
自分でもどんどん濡れていくのが分かった。

「んんっ!」
太郎くんが私のすごく敏感なところに触れた。

「…そこ、……気持ちいいの…」
私は太郎くんに言った。
「……ここ?」
太郎くんはその周りをくるくる撫でる。
「うん……、その辺…すごい、気持ちいい…」
私は言葉に出して言った。
自分のこういう欲求には素直でいる主義なのだ。
太郎くんは優しく、私を触ってくれる。
それがまるで焦らされてるみたいで、すごく上手にされてるみたいで私はどんどんよくなってしまう。
(すごい……、才能、あるかも…)
あんまり気持ちがいいから、暫くこの感覚を味わっていたかった。
「太郎くんと、キス、したい…」

そっと太郎くんの唇が重なる。
(あーん、この子がする全てがソフトだよ〜……)
キスされてくらくらして、あそこを触られて足はガクガクする。
首筋がゾクゾクしてくる。
体から感じる以上に気持ちから溢れてくる興奮に、自分でも驚いた。
今までしてきたどんなセックスとも違う。
強烈な気持ち良さだ。

「そこ…、もう、少し…強くして…」
このままでいたら、本当にとろけてしまいそう。
太郎くんの指の動きが、少しだけ強く、速くなる。
「あぁっ、…、は、んんっ……、あ、あ、…あ…」
もう声を抑えられなくなってきた。
凄い気持ちいい、じんじんして、甘くて、…
「あっ、…すごい、太郎くんっ、…あっ、あっ…」
頭から足の先まで、皮が剥けて感覚がさらされていくような感じで…。

「あぁっ、あぁっ、…、いっちゃう…、うあぁぁんっ、んっ、んんーっ……」

一瞬体に力が入って、あっという間に通り過ぎた。
凄い気持ちよかった。
太郎くん、凄い。

「はぁ…、はぁ…」
まだ肩で息をしている私に、太郎くんはキスする。
背中の排気口の音が、急に耳に入ってくる。
「太郎くん…、すごぉい…、すごい…、気持ち、よかった…」
私は太郎くんに甘えながら言った。
太郎くんが私の下着の中から手を抜くと、手のひらまでぐっしょり濡れていた。
「ごめん…、汚したね…」
私が謝ると、太郎くんが照れていた。
ちょっと時計を見ると、休み時間までには時間があった。
今頃みんなは授業を受けてる。

私は太郎くんのズボンを脱がせにかかった。
「涼子ちゃん…?」
「お返し♪」


「ダメだよ、涼子ちゃん…」
「ダメ、じゃないよ」
(ダメじゃないくせに、太郎くんは〜)
全然イヤがってないくせにちょっと拒否してる風の太郎くんの、パンツを下ろした。
「あぁんっ…」
何でだか、私がイヤらしい声を上げてしまった。
太郎くんのは、結構大きかった。
おまけに頭の部分が大きくて、なんだかエッチな形してた。
(ちょっとぉー、コレはヤらしいかも…)
そんな事を考えながら、私は太郎くんのものを掴んだ。
「うっ…」
太郎くんが、少し体を引く。
「やっぱ、ダメかも…、涼子ちゃん…」
太郎くんはまだイヤがっている。
「なんで…?ダメ…?」
私は気にしないで、太郎くんの、…初めて触る太郎くんのものに、唇を付けた。
ちょっと先っぽを舐める。

「あ、やっぱダメダメ!…あ!」
えっ、…と思う間もなく、私の顔に、太郎くんは出してしまった。

「…………………」

ちょっとの間、沈黙。
「ごめん、涼子ちゃん…」
「ううん…、ビックリした…」
昼ご飯用に持ってきてたウェットティッシュで、とりあえず顔を拭いた。
「なんかいっぱい出したね!」
拭き終わって私は言った。
「ホントにごめん……」
太郎くんはめちゃくちゃ凹んでるっぽかった。
「イヤだった?…太郎くん?」
「イヤなワケないよ!すげー嬉しいよ!…でもなんか情けないし…」
「情けなくないよ、あたしも嬉しいよ、太郎くんカワイイよ、大好きだよ」
とりあえず言いたい事を全部言ってみる。
太郎くんはすごい恥ずかしそうにしてる。
そういう所がいちいち私のツボに入って、かわいくって、もう、たまらなくなる。
「太郎く〜ん…」
私たちは抱き合う。
抱き合って廻した腕のおかげで、イヤでも時計が目に入る。
「ああ、もうすぐ授業終わるよ」
「もう行かないと、だな」
私たちはもう一度抱きしめあう。

立ち上がると、なんだかまだ足に力が入らない。
「太郎くん、あたし、今日もう帰るわ」
「え、なんで?」
「だってパンツが気持ち悪いんだもん。シャワー浴びたいし」
私の言葉で、太郎くんは恥ずかしそうに笑う。
「今度、木曜日は一緒に帰ろうな」
「うん、部活ないんだよね」
太郎くんが頷く。
私は太郎くんの手を、ちょっと触って言った。
「そしたら、帰り、うちにおいでよ。うち母親遅いから」
私は上目づかいで彼を見た。

「ちゃんと、今日の続き、しよ」
こんなときにどうかと思うけど、私はすごい笑顔になってしまった。
太郎くんもつられて笑ったけど、また、赤くなってた。

 

ラブで抱きしめよう
著作権は柚子熊にあります。全ての無断転載を固く禁じます。
Copyrightc 2005-2017YUZUKUMA all rights reserved.
アクセスカウンター