詩音が「クラスの女子の盛り上がり方がすごくて怖い」って言っていたけど、
実はこっちのクラスのテンションの方がずっとひどかった。
顔合わせをした最初の日の後 クラスに帰ってきた男どもは皆、誰が可愛いだの誰に目をつけただのそんな品評を一斉に口にしていた。
そんな中、普段からやたらオレたちに話しかけてくるちょっと煩わしい積極的な女に、さっそく目をつけてくれた男がいたのは心底ありがたかった。
だがその反面、オレにとっては迷惑な方に向かってる男も何人かいた。
「津田さん、って……なんかいいよな?」
「おお、一緒にいる女の子もほわーんとして可愛いけど、あっちはもう陸人が目をつけてるみたいだし…」
「中村が相手じゃあ、勝ち目ないな」
「だろ?…でもオレは津田さんの方が断然好みだけどな」
詩音に目をつけているヤツは、一人二人じゃなかった。
…うすうす感じてはいたんだが、詩音は男ウケするタイプだ。
――― そこそこ可愛くて、ごく普通の雰囲気。
派手でよくしゃべる女よりも、素で可愛らしい子の方が実際にはモテるもんだ。
しかし、当の詩音は全くそんな事に気付いてない。
作業が始まると、あいつはやたら色んなヤツに声をかけられていた。
詩音の友人に陸人が猛烈アプローチしているせいで詩音が浮いてしまい、ただでさえボーっとしているというのに、余計に他の男の付け入る隙ができてた。
「………」
オレは意識して、詩音が視界に入らないようにしていた。
だが見ないようにしているつもりでも、やっぱり気になってしまう。
「なあ、いいのかよ?征爾」
孝輔が声をかけてきた。
「何が」
オレはとぼけて返事をする。
「あれ、彼女なんだろ?」
孝輔は離れて作業をする詩音に向かって親指を立てた。
「やめろよ、指すな」
あわてて孝輔の手をオレは押さえる。
「何してるの〜?生駒くんたち♪」
細野って女子が孝輔のすぐ横に来ていた。
こいつは孝輔の取り巻きの一人だ。
「何にもしてなかったら、こっち来て、ちょっと手伝って欲しいな」
「あ、ああ…」
孝輔は強引に引っ張られて、何かを塗ってる大きな紙の方へ連れて行かれていく。
オレも仕方なく、後に続いた。
「陸人だって、最初はその気だったんだろ?」
小声でさっきの話の続きをする孝輔。
「……」
夏休み前に、陸人が詩音に目をつけたせいで、オレは詩音との関係をこいつらに説明せざるをえなくなったんだった。
勿論同居しているなんて、言っていない。
「あの陸人が目をつけるぐらいなんだから、結構彼女ヤバイんじゃね〜?」
「うるせえ」
他人事だと思って楽しそうな孝輔を睨んで、オレは渋々女子の手伝いをした。
オレらと反対側、教室の端っこの方で、陸人と詩音の友達と詩音の3人が何かをしている。
そこへ別の男子が近づいていく。
(………)
オレはめちゃくちゃ気になりながらも、動揺しないように孝輔たちと下らない話で無理に盛り上がった。
「セ、セイちゃん……、な、何?」
まだ暑い9月の終わり。
詩音は家についてすぐに、慌ててオレの部屋まで駆け上がってきたらしい。
「メール…見て、もう気になって気になって……」
軽く息をきらしてる、制服のままの詩音。
帰り際、オレは詩音にメールした。
『大事な話があるから、家についたらすぐオレの部屋に来い』って。
「セイちゃん、は、話って……?」
「べーつに」
オレは詩音を抱きしめた。
「ええっ…」
詩音は戸惑いながらも、オレに抱きしめられるままだ。
「な……何かあったんじゃないの??」
「なんもないよ」
オレは腕の力を緩め、詩音の顔を見た。
不安そうに眉をしかめるクリっとした目。
蒸気した頬はいかにも柔らかそうだ。
「やっぱり、詩音が一番可愛いな」
「えー……」
詩音は余計に頬を赤くして、困った顔になる。
「学校で会うと、ホントに思うぜ、すげー可愛いって」
「う、……うそぉ……」
オレから目をそらす詩音は、めちゃくちゃ照れてる。
学校にいる時とは全く違う距離感に、心の中でオレは舞い上がってしまう。
いつも家で会っていても、こうして制服同士でいると気分が全然違った。
「ホントに……すげーかわいいって……」
さりげなく、詩音をベッドの方へと寄せる。
キスしてその流れで、彼女をベッドの縁へ座らせた。
「や、だ、ダメ……セイちゃんっ」
既にブラウスの胸元がはだけている詩音の足を、オレは開いていく。
ショーツはとっくに剥がしてあった。
座ったの姿勢で膝を曲げて、制服を着たままそこを見せる詩音の姿はすごくエッチだ。
(ゴク……)
思わず喉が鳴ってしまう。
内腿の白さが妙に生々しくて、そしてその中心にある退紅の性器がオレをめちゃくちゃそそる。
「ひゃんっ!」
詩音がビクンと跳ね、声をあげた。
オレは床に膝をつき、詩音はベッドの縁に腰掛けた状態でオレに足を持ち上げられている。
舌先で、彼女の粒を舐めた。
「あっ……ふぅんっ…、あ、あっ…」
オレの肩に乗った詩音の足に、時折グっと力が入る。
やっと触れるぐらいの緩さで、オレは愛撫を続けた。
しばらくして唇を離し、オレは詩音を見た。
「はあ、はあ……」
上半身を支えている腕はまっすぐに伸び、指先が白いタオルケットを掴んでいる。
乳首が見えるまで開いた制服のブラウス。
曲げた膝の間にあるその部分は、少し離れても分かる程濡れていた。
オレも興奮してドキドキしていた。
手を伸ばし、そこを指で触る。
「あんっ……!」
詩音の膝が閉じるように少し動く。
それでも膝は立てたまま、自ら、その部分を開いていた。
オレは人差し指と中指で、詩音の狭間をそっと撫でる。
「んっ……、んんっ…」
詩音の可愛い顔が、再び歪む。
視線を下に戻すとそこは、すぐにでも2本の指を飲み込みそうだった。
肉厚のあるそこへ少しだけ指を沈める。
すぐにそこから指を離し、軽く叩くようにまたそこへ指を戻した。
オレの指の動きに合わせて、ピチャピチャと詩音のそこが音を立てた。
「すげえ、濡らしてる……」
「やっ、…やんっ」
詩音は首を振ったが、その音は鳴り止まなかった。
「やらしー音……」
「いやんっ、……だめっ、セイちゃんっ……」
「………詩音…」
「あっ、……はぁ、…やん……」
クチャ、クチャッ……
彼女が鳴る。
オレは詩音の顔を見ながら、暫くそのエッチな音を聞いていた。
だけどオレも限界になってくる。
制服のズボンを下ろした。
「うあ、あああんっ!」
詩音がオレに抱きついてきた。
中に入ってしまうと、オレ自身も一気に切羽詰ってくる。
「詩音………すげぇ可愛い…」
「あぁ、セイちゃんっ……セイちゃんっ…」
抱きついてくる詩音がすごく可愛い。
本当に、オレにとって詩音は一番可愛かった。
誰にも渡したくないという想いが、内から湧き上がってくる。
こんなに嫉妬深い自分の一面があるなんて、オレは今まで気付かなかった。
学校で遠目に見てる制服のままの詩音を抱いて、オレはすごく興奮した。
「机はそっちに寄せてね〜〜」
準備も本格的に進んでいて、どの教室もそれぞれに装飾を始めていた。
学園祭まであと2日だった。
「見て〜!エプロン来たよ!」
女子部の一人の子が、大声を出して皆を呼ぶ。
「うわぁ〜〜!かわいい〜〜!」
オレも遠巻きに見たが、確かに可愛いデザインだった。
ハロウィンを意識した、黒いエプロン。
早速つけている女子も多かった。
オレは詩音をチラっと見たが、あいつはすぐにエプロンを自分のカバンへ入れに行っていた。
(かわいいだろうなぁ……)
詩音のエプロン姿を、ちょっと想像する。
あいつがたまに家でするエプロンは、腰の周りだけ巻くような小さいやつだ。
詩音の母の佐織さんは確かにうちの家政婦として仕事をしていたから、詩音をメイド扱いするなんて、うちでは洒落にならない。
勿論彼女をそんな風に思ったことはなかった。
(だけど、あいつ……メイド服すげー似合いそう……)
先日、お互い制服のままでオレの部屋で抱き合ったことを思い出す。
(はあー、やばいやばい)
妄想が進みそうで、オレは慌てて首を振った。
廊下にあるロッカーから教室へ戻ってくる詩音に、うちのクラスの向井ってやつが声をかけてる。
向井は結構真面目で、そんなに悪い男じゃない。
だから余計にそんなヤツが詩音に声をかけているっていうのが気になる。
オレはさりげなく2、3歩近づいて、なんとか会話が聞こえる位置まで来た。
(何やってんだ……オレ)
教室で見る詩音はいつもよりも距離があって他人のようで、何だかすごく新鮮に感じた。
オレの目には、あいつの周りだけ輝いて見えた。
(………)
向井と詩音の方へ神経を尖らせ、オレは妙に緊張する。
「詩音ちゃんって、高校から?」
(詩音ちゃんだと……??)
向井の馴れ馴れしい呼び方に、オレはムカついてくる。
「中学からだけど…?向井くんは?」
詩音は普通に愛想よく答えた。
「オレも中学からだよ、でも詩音ちゃんのこと、全然気がつかなかったなあー」
向井の言葉にあいつはニコニコとしている。
「こんなカワイイのに、何でチェックしとかなかったのかって思うよ」
「ええー……」
困った様子で、詩音は詩音の友達と陸人の方を見た。
陸人は相変わらず詩音の友達に押せ押せで、周りなんて全く目に入っていない。
「詩音ちゃん、彼氏いるの?」
「………えっと……」
詩音がなんて言うのか、オレはドキドキした。
だが、向井は詩音の返事を待たずに、どんどん話しかけていく。
「良かったらさぁ〜、学祭の時、一緒にオレとまわらない?
陸人と、お友達の野々村さんと4人一緒でもいいし……」
向井に悪気がないのは分かってる。
詩音を狙っているのなら、当然の行動だと思う。
だけどオレはだんだん腹が立ってきた。
教室の中はそれぞれにグループができていて、話し声でざわざわしていた。
オレの足は無意識に詩音の方へ向かっていく。
「おい、向井」
「ん?」
きょとんとしてオレに振り向く向井。
思わずオレは言ってしまった。
「そいつ、オレの彼女だから」
「ハア???」
向井は思い切りビックリして、デカイ声を出した。
その声で教室にいた皆が、一斉にこちらを見た。
「そういうことだから、詩音、こっち来い」
オレはその場を離れたかった。
詩音をろくに見もせずに、背を向けて何となく目に入った陸人たちの方へと進んだ。
「ちょ、ちょっと!って、お前、詩音ちゃんと付き合ってるってことかよ?」
向井がまた大声で言った。
「えーーー!」
主に女の声で、絶叫みたいな声が教室中に響いた。
(あいつ……バカ)
オレは向井に返事をせずに、真っ直ぐ陸人の座っている席へと歩く。
詩音も後ろについてきていた。
「うそ〜〜、堀尾くん……」
「津田さんと……???」
教室中の誰もがオレたちに注目しているのが分かった。
端の方で、幾つか机を向かい合わせにして陸人と詩音の友達がいる。
黒い紙とオレンジのナフキンが机に並べられていた。
オレは陸人の隣の席を引いて、ドカっと座った。
詩音はオロオロしながら、詩音の友達の隣の席に着く。
オレの方から教室中が見渡せて、皆の視線が刺さってくる。
背を向けている詩音も、それを感じてどうしていいのか分からないようだった。
「やぁっちまったな〜」
陸人はすげー笑ってた。
「し、詩音ちゃん……」
詩音の友達は少し後ろを振り返ると、すぐに前を向いて詩音と同じように困りだした。
「あーあ、交際宣言かよ」
孝輔がイスを持ってきて、オレらの斜めに座ってきた。
「まあ、津田さんもあのままだったら向井に押し切られてそうだったしな」
ニヤニヤしながら孝輔は詩音を見た。
「セ、セイちゃん……」
「ぶっ」
詩音のその一言に、孝輔と陸人は爆笑する。
「お前ら、笑うなよ……」
相変わらず痛いほどのクラスの視線に晒されていた。
「もう、しょうがねえだろ」
半分ヤケになってオレは言った。
孝輔と陸人はまだ笑っている。
詩音はすごく困っていた。