ベイビィ☆アイラブユー

ラブリーベイベー編 ☆☆ 3 ☆☆ 前編

   
(言っちゃった……言っちゃった……)

だけど口に出さずには、いられなかった。
心は、もういつ告白しちゃってもおかしくない状態だったのに、ずっとずっとガマンしてたんだもん。

「……………」

学校でセイちゃんからメールが来たとき、何を言われるのかと思ってすごくドキドキした。
あの時の事が一番に頭に浮かんだけど、もしかしたら私が何か家で重大な失敗をしちゃったのかもしれないとも思った。
(何だろう…すぐ帰って来いって…)
貧血を起こしちゃうかと思うぐらい緊張して、大急ぎで帰って来たのに…。
(セイちゃん……)
好きだなんて、思わず言ってしまって…だんだん本当に恥ずかしくなってきた。
(私ったら、なんて大それたことを……)
ああ、走って自分の部屋に戻りたい。

しばらくお互い黙ったままでいた。
この沈黙を何とかしたかったけれど、どうにもできなかった。
あまりの恥ずかしさに、私は下を向きっぱなしだった。


「そうか、そうか」
「……?」
急にいつもの軽い口調になったセイちゃんに戸惑って、思わず私は顔を上げた。
セイちゃんはニタっと笑って、私を見てた。
その様子は、私に迫ってくる例の感じで………。

腰を上げて私の横に座りなおしたセイちゃんの手が、伸びてくる。
セイちゃんは私の肩に腕を回した。
セイちゃんのキレイな顔が近づいてくる。
セイちゃんの息まで、かかりそうな距離。


「それじゃー、付き合おっか」

ニッコリと笑うその顔は、悪戯っ子みたいな普段のセイちゃんだった。
「えっ……?」
私は耳を疑った。
あまりに軽いセイちゃんの様子に、またからかわれているのかもしれないと思い身構えた。
「えっと……、セイちゃんっ?」
セイちゃんへと振り返ったら、セイちゃんの顔が目の前過ぎてドキドキが更に高まってしまう。



「じゃあ、今日から詩音はオレのもの」

(ええっ…………?!)
有無を言わせないっていうのは、こういうことなんだなって思った。
私の肩を抱くセイちゃんの腕に力が入って、セイちゃんへともっと引き寄せられた。



――― 唇を、ふさがれた。



あの夜みたいに、私はまた固まってしまう。
自分の唇に感じるセイちゃんの唇に何の反応もできないまま、私は石みたいになってた。
「………お」
セイちゃんの唇はすぐに離れた。
「お前ー、目、バッチリ開けてんなよ」
「えっ…、ご、ごめん」
つい謝ってしまった自分を、我ながらバカだなあと思った。
セイちゃんは楽しそうに笑うと、ギュっと私を抱き寄せてくれた。

「……………」

抱きしめられてるんだと実感するのにさえ、数秒かかってしまった。
それぐらい、今、この一連の出来事は唐突すぎて、気持ちが全然ついていけてなかった。
(だけど………)

すごーーく、嬉しい。


私の顔に、セイちゃんの肩がぴったりとくっついていた。
私の首筋には、セイちゃんの髪が触れている。
くるっと回ったセイちゃんの腕は、しっかりと私の背中にあった。
「セイちゃん……」
確かめるように、私は名前を呼んだ。
「んー?」
私を抱きしめる腕の力を緩めないまま、セイちゃんは返事をした。
(ドキドキしちゃうよ……)

「なあ、詩音」
「ん?」

「キスしていい?」
「えっ……」
(そんな事、聞かないで欲しいよ……)
そう思ったけれど、セイちゃんの目が真剣だったから、私は小さく頷いた。
「じゃあ、目ー閉じてくれる?」
「あっ、う、うん……」
(そう言われても……)
改めて『目を閉じて』って言われると、正直どうしていいか分からなくなった。
「え、え、えーっと…」
(恥ずかしいよ……)
戸惑っているうちに、セイちゃんの顔が近づいてきた。

「ん……」

――― 不思議。
自然に、目を伏せてた。
 
 

ラブで抱きしめよう
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