ベイビィ☆アイラブユー |
ラブリーベイベー編 ☆☆ 5 ☆☆ |
まだ全身が痺れてるのに、その衝撃は一気に体を貫いた。 「あああんっ!!いたぁいーーっ!!」 (ああん、痛いよぉ……) というより、痛みもよく分からないぐらいの強い感覚。 自分自身が裂かれるんじゃないかと思った。 全てが初めてのこの強い衝撃で、自分に何が起きているのかが分からない。 「ごめんな…、少しガマンして……詩音」 セイちゃんが耳元で言った。 そのかすれた声で少し我に返る。 「ああん、……セイちゃんっ…!」 私の体の上にあるセイちゃんの肩を、私は夢中でギュっと握り締めた。 「好きだよ、…詩音」 「ああっ、あっ……セイちゃ…」 声にならなかった。 体が揺さぶられる。 息が途切れそう。 セイちゃんに、抱かれている ―――― 今まで色んなことがあったけれど、こんな風にセイちゃんを受け入れる日が来るなんて。 (セイちゃん、セイちゃん……) 体の中は火傷を追うように熱くて痛い感覚の中、それでも心の奥では感動していた。 「ああ、あんっ、ふああっ!」 何が何だか分からないまま、私は必死でセイちゃんにしがみついた。 「はあ、はあ、はあ………」 セイちゃんの体が離れたから、エッチが終わったことにやっと気がついた。 セイちゃんが私の体から出て行った後も、私の中の痛みと違和感は変わらなかった。 「大丈夫?詩音」 私の頬をセイちゃんの指が撫でた。 「うん……。へーきだよ……」 「でも、すげー涙が出てる…」 セイちゃんに撫でられて初めて、涙を沢山流していたことを知った。 「ホントだぁ……」 やっと体の向きを変えて、目を開ける。 両手で触ったほっぺたは、涙でぐしょぐしょだった。 「あんっ」 セイちゃんが、さっきまでセイちゃんのモノが入っていた私のそこを拭いた。 「血も出てるけど…」 「えっ」 「血じゃないもんの方が一杯出てる」 そう言って私の顔を見て、セイちゃんはエッチにニヤリと笑った。 「すーげー濡れてたよ、詩音」 「うそ……」 なんて言ったけれど、自分でも分かってた。 セイちゃんにキスされてから、恥ずかしいぐらい濡れちゃってたこと。 久しぶりに触られて、すごく興奮してた。 そして、すごく感じちゃってた。 「はあ…」 ため息が出ちゃう。 こんなに感じたのも初めてだったし、もちろんエッチだって初めて。 「痛かったよぉ……」 「でも、ずいぶん気持ちよさそうだったけど?」 微笑みながら、セイちゃんが私の隣へ来て横になった。 薄い羽布団の上から、私の腰を撫でてくる。 「やぁん、くすぐったい」 「ははは」 セイちゃんは私の腰から手を離さない。 (裸だ………) 今更ながらに、裸なんだって思う。 二人とも裸で、そしてこんなに近くにいる。 (うそみたい……) 改めてドキドキしてくる。 裸のセイちゃんは、いつものセイちゃんよりも男の子っぽくて幼い気がした。 不思議だけど、子どもの頃のセイちゃんを思い起こさせる。 じっと見ていたら、セイちゃんが私の顔を覗き込んで言った。 「何?」 「なんか……ウソみたい」 「この状況が?」 私の腰に触れた自分の指先を見て、フっと笑うセイちゃん。 「うん………だって……」 うまく言えない。 セイちゃんは大好きな男の子なんだけど、ずっと知ってる家族みたいな存在でもあった。 「もっと早く、こうなっとけば良かったな」 セイちゃんは私の腰から手を離し、今度はほっぺたを触ってくる。 そんな動きがなんだか自然で、今日こんな風になったのに、もうずっと前からこんな感じだったような錯覚がしてしまう。 (もっと早く……) セイちゃんの言葉を胸の中で繰り返した。 なんだかしみじみと…ジワンと嬉しくなってくる。 セイちゃんは仰向けになって、今度は私の左手を取って自分の体の上に乗せた。 胸の上で、私の手を両手で揉むみたいに触る。 「来週からアメリカ行くからさー、毎年恒例のホームステイで」 「えっ……」 そうだった。 セイちゃんはだいぶ前から、夏休みはほとんどアメリカに行っていた。 毎年ちょっと寂しいなとは思ってたけど、最近セイちゃんと色んなことがあってホームステイのことなんてすっかり頭から消えてた。 「詩音、一緒に行かない?来いよーー、オレが渡航費出すし」 「え、……無理だよ」 一緒にって言ってくれたのはすごく嬉しかった。 だけど、どう考えても無理。 「パパやおじ様に、説明できないし……」 「………そうだよな」 セイちゃんは私の指先をいじりながら、ため息をついた。 (行っちゃうんだ……) こんな風に素直になれたのに、セイちゃんは行ってしまう。 しばらく会えなくなってしまう。 (だけど、行かないでなんて言えないし…もう決まってることだし……) 「せっかく付き合うことになったのに…」 そう言ってセイちゃんは私を抱きしめてくる。 ドキン… 裸で触れ合ってる肌の感触が生々しかった。 それでも暖かくて、すごく心地がいい。 「1ヶ月も離れちゃうなんてよー…」 「………」 ああ、ドキドキしてきちゃう。 (セイちゃん、好き……) 触れ合う部分、体のあちこちでセイちゃんを感じる。 心の中のドキドキも、私にセイちゃんがそばにいることを実感させた。 「あーあ、離れたくねえなあ……」 セイちゃんの腕に力が入る。 (セイちゃん………) そんな風に言ってもらえることが、奇跡みたいな気がした。 (セイちゃんも、私を好きでいてくれてる…?) 「セイちゃん……」 セイちゃんを見ると、私のことを色っぽい目で見返してくる。 「んん……」 その視線が唇に移ると、自然とキスになった。 その夜は、二人で外でご飯を食べた。 家じゃないところで、こんなに長い時間セイちゃんとすごすのはもちろん初めてで、私はエッチしたのと同じぐらい終始緊張していた。 「じゃあ、また部屋についたら電話する」 セイちゃんは駅の時計をちょっと見て、ポケットに手を入れる。 途中で分かれて、別々に家に戻ることにした。 やっぱり二人がこんな関係になったのは、おじ様やパパには秘密にしたかったからだ。 「うん、それじゃあね」 私は笑顔を見せた。 セイちゃんとここで分かれるのは少し寂しかったけれど、一緒の場所に住んでいるのにこういう風に分かれるのは本当にデートみたいで、私はちょっと嬉しくもあった。 「明日も、一緒にいような」 「うん」 私は頷いた。 「できるだけ、一緒にいよう」 そう言ったセイちゃんは照れて、改札の方へと顔を向けた。 そんな姿のセイちゃんがすごく可愛く見えたし、そんな風に言ってくれるのがすごくすごく嬉しい。 「うん」 私はさっきよりも大きく頷いた。 別々の道を通って、同じ家に帰る。 部屋に戻ると、すぐにカーテンを開けてセイちゃんの窓を見た。 セイちゃんは先に帰っていて、セイちゃんも窓を開けてこちらを見てくれてた。 (セイちゃん…) 外に出す声は響いてしまう。 私はノド元まで出かけたた言葉を抑えた。 いつもこんなに近くにいるのに、会えないのがすごくもどかしくなる。 私を見つめるセイちゃんの目も、これまでとは違ってた。 胸がキュンって、なる。 (セイちゃん、大好き…) しばらく会えなくなるなんて、全然実感がなかった。 |
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