ベイビィ☆アイラブユー

ドキドキ編 ☆☆ 4 ☆☆

   
(この前のアレは何だったんだろう…)

あの日の夕食の時も、その次の日も、セイちゃんは何事もなかったように私に接してきた。
こっちはセイちゃんの気配を感じただけでドキドキが止まらないっていうのに。


「今日はママがお出かけでお弁当がないんだ〜、詩音ちゃんたまには学食で食べない?」
お昼の時間になって、萌花ちゃんに誘われるまま私は学食に向かった。
学食は学内で男子部と女子部が共有している唯一のスペースだ。
男の子も女の子も、ここではお互いをすごく意識しているみたいだった。
そんな独特の雰囲気がイヤで、私はめったにここにはこない。

「私、場所取っておくね」
「じゃあ、詩音ちゃんの分もお水持ってくるね」

萌花ちゃんが食事を取りに行く間に、私は座る場所を決めた。
別に決まりがあるわけじゃなかったけれど、暗黙のうちに女子が座る席と男子が座る席は分かれている。
男子は奥の方、配膳場所の辺りだ。
私は入り口の近くの、できるだけ男子と離れた端っこの方に場所を取った。
唐突に、女の子たちがザワザワした。
彼女たちの視線の先を目で追うと、そこに私の一番会いたくない人がいた。
(セイちゃん……)
ただでさえセイちゃんに学校で会うとドキドキしちゃうのに、私の心臓は勝手に破裂しそうにバクバクしはじめる。
「堀尾くん、カッコいい!」
「私は生駒様がいいなあ♪」
「やっぱり中村くんでしょっ」
セイちゃんはお友達も素敵で、彼らは女子の羨望の眼差しを一気に受けてる。

「はあ……」

セイちゃんを見るたび、この前の事を思い出してしまう。
顔を見なくたって、本当は思い出してばっかりだったけど。
「なあに?溜息なんてついちゃって」
トレーを持ってきた萌花ちゃんは、水の入ったコップを私の方に置いてくれた。
「ありがと……女子校だったら良かったな、なんて思ってた」
私はお弁当を包んでいるナフキンを開いた。
「ほとんど女子校だと思うけど?…でもすぐ側に男子もいるもんね」
萌花ちゃんは男子の方へ目をやった。
断然女子の視線を集めているのは、セイちゃんたちの集団だった。
「いいじゃない♪目の保養♪多少刺激がないとつまんないもの」
「そうかなあ…」
萌花ちゃんにしては意外な台詞に、私は曖昧に頷いた。
「詩音ちゃんのお弁当、ホントにいつもすごく美味しそう♪」
「パパ、本職だしね…」
カラフルに彩られたイタリアン風の中身。
セイちゃんも同じ内容のお弁当を食べているんだろう。
そんなことには、きっと誰も気がつかないと思うけど。


あの出来事から数日経ち、6月に入った。
制服が変わるのと同時に、景色は一気に初夏になる。
自分ばかり意識しているのも変だと思ってしまうぐらい、セイちゃんは普通だった。

「あれ、尊(タケル)さんは?」
夕食の準備をしてると、セイちゃんがキッチンに入ってきた。
「パパは今日仕込みの手伝いって言って…もう出て行った」
「ふうん……」
セイちゃんは冷蔵庫を開けて、瓶のコーラを取る。
ペットボトルじゃなくて瓶っていうのが、セイちゃんのこだわりらしい。
「オレ、寄り道してきちゃったし、…ゴハンの時間ちょっと遅くてもいいぜ」
栓を抜くと、瓶のままゴクゴクと飲み出した。
「そう……」
夕食はほとんどパパが用意してくれている。
私はそれに多少熱を加えるぐらいで、そんなにやることはなかった。

作業をやめて、私は自分の部屋へ戻ろうとした。
「詩音」
「?」
「ちょっとちょっと」
セイちゃんは手招きしながら、リビングの方に行ってしまった。

「何?セイちゃん…」
私は全く警戒せずに、セイちゃんが座るリビングのソファーの方に向かった。
「ちょっと座って」

「???」

前のことがあったのに、私は本当に油断していた。
セイちゃんは私を後ろから抱きかかえるようにソファーに座り、いきなり私の胸を掴んだ。
「ちょ、ちょっと!セイちゃんっ!」
「いーじゃん、尊さんいないんだし…。お前もこの前感じてたみたいじゃんよ」
首の後ろから囁かれて、私はゾクっとしてしまう。
「違うってば!……だっ、ダメだって!セイちゃんってば!」
「ホントにダメなのかなあ」
そう言うセイちゃんはすごく素早くて、気がつくともう彼の手は私のTシャツの中に入ってた。
「やんっ!やん!……ダメっ!セイちゃん!」
「イヤって言うわりには抵抗しないじゃん」
「ちがうもんっ……せ、セイちゃんがっ……」
思い切り立ち上がったら、すぐにセイちゃんから逃れられるだろう。
それでももうセイちゃんの手は直におっぱいを触っていて、私はゾクゾクして体の力が入らない。

(やあん、また、変な感じ……)

「ホントにイヤなら止めるけど?」
セイちゃんは意地悪にそう言うと、服の中で私の乳首をギュっと摘む。
「あんっ!……あっ!」
「イヤだっていう声には聞こえないけどー?」
そして両方の乳房をくるくると揉んでくる。
「やんっ!……やっ……はんっ…」
今日の私は髪を二つに分けて縛っていた。
割れた髪の間から出ている首筋に、柔らかい感触が。

(ヤダっ……首に……)

セイちゃんが首筋にキスしてる。

「あぁっ、…ひゃっ……」
(キスだなんて……!)
今まで感じたことのない感触が、私の首筋に走る。
思わず肩をすくめてしまう。
「なぁんだよ、詩音もすげえその気じゃん」
「ちがっ……違うもんっ!」
私は初めて逃げようともがいた。
胸を掴むセイちゃんの腕に力が入る。
後ろからギュっとされた格好で、また首にキスされた。
「ううんっ……!ダメっ……、それ、やめてっ…」
私は首を振って嫌がった。
その間もおっぱいを触られていて、私のゾクゾクは止まらなかった。

「もしかして、感じちゃってるんじゃね?」
「!」

私は普段からボーっとしているって言われるのに、セイちゃんに色々されて益々反応が遅くなってた。
胸を掴んでいたセイちゃんの手がTシャツの中から出てきて、素早く私のスカートをめくった。
「やっ……ちょ、ちょっと……」


――― ヌルって、頭の中で音がした。

セイちゃんの指が、私のショーツの横から入ってきたのだ。
「ひゃぁんっ……あぁんっ…」
「うわー、すげー濡れてるじゃん、やっぱり感じてるじゃん」
指はもっとショーツの中に入ってきて、私の裂け目を撫で始めた。
「ちがっ……あっ、…セイちゃん、だめっ!」
(ヤダっ……、なんか…ああっ…やんっ)

「すげー可愛いじゃん、詩音…」

私の耳元でセイちゃんの小さい声がした。
その声で、みんなにアイドル扱いされてる学校でのセイちゃんを急に思い出す。
客観的に見ても確かにカッコいいと思う男の子が、今私の体を触っている。
みんなの憧れてるあの唇とか、手が……。

「やぁんっ!だめぇっ……セイちゃっ…」
「ダメじゃないだろう?」

セイちゃんの声にさえ、すごく興奮していた。
ゾクゾクして、時折体がピクンと震えてしまう。
(やん、……やんっ……)
「あんっ……、あっ……あっ……」
「詩音、声もすげー可愛い…」
もう、体をすっかりセイちゃんに預けてた。
私はセイちゃんにされるがまま、おっぱいだけじゃなくてあんなとこまで弄られている。
(やん……だめ…)
初めてそこを触られて、すごく感じちゃってた。
セイちゃんにそうされるのは、全然イヤじゃなかった。
 
「あん、…あんっ…」

ちょっとでも声をガマンしようと思って、私は自分の指を噛んだ。

 
 

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