お盆になって、彰士が来てくれる。
あたしにとってはすごく待ち焦がれてて、やっとホントの夏休みが来たって感じだった。
「あれ…」
先生が来る前の日の昼に、珍しく彼の方からメールが来た。
あたしは部屋でマニキュアの2重塗りを終えたところで、動かないでじっとしてたところだった。
『今電話できる?』
(できるよー♪)
嬉しくなって、あたしは爪に触らないように打ってすぐ返信した。
しばらくすると彰士から電話がかかってきた。
『麗佳?今大丈夫だった?』
「うん。…自分の部屋にいるから。大丈夫だよ?」
『そうか』
「彰士は、何してるの?」
『今、職場の休憩時間…。ビルの裏口にいるんだけど…。外、暑いな』
「暑そうだねー。あたしは部屋で冷房ガンガンだもん」
彰士が暑がってる姿って、あんまり想像できなくて笑えた。
「どうしたの…?急用だったの?」
あたしは彰士から急にメールがきて嬉しかったけど、同時に不安も感じていた。
『お盆の予定なんだけど…』
「うん。」
『急に機械のトラブルがあって…。休み中に入れ替える事になった』
「……」
『1日ぐらいしか、そっち行けなさそうなんだけど…。ごめんな』
そう言われたら、あたしは頷いて納得するしかない。
「そうなんだ……。残念だけど、しょうがないね…」
『ホントに悪い。…またこの埋め合わせは何とかするから』
「…大丈夫。気を使わないでね」
予定が急に変更になったことが何だかショックで、その後彰士と何を話したのか全然頭に入ってなかった。
本当は3日間こっちへ来られる筈だったのに。
(1日だけかぁ…)
なんとなく1日だけ会えるっていうのと3日間のうちの1日っていうのとじゃ、
1日の密度というか、受け止め方というか…時間の感覚がかなり違う気がした。
(仕事じゃぁ、しょうがないよね…)
あたしは彰士との交際の中で、何度も何度も『仕方がない』って自分に言い聞かせてる。
実際、ホントにしょうがないんだけど。
会いたい……。
もう会えないと思っていた冬を思い出す。
あのときよりは、随分マシ……随分どころか、天と地の差ぐらい。
午前中に、彰士は来てくれた。
「ホントにゴメンな。約束が守れなくて」
会った途端、彼は本当に申し訳無さそうにしてた。
そんな様子を見たら、許さないも何もないじゃんって気になってくる。
「ううん、…良かった。会えて」
あたしは本当にそう思って言った。
彰士は髪を切ったばかりみたいだった。
高校のときとは違うお洒落な眼鏡をかけてる。
サッパリしてる雰囲気もすごくよかった。
そんな先生が見られただけでも、あたしは嬉しかった。
「8月入ってから、1台調子が悪くて…。思い切って交換してもらうことにしたんだ。
そのせいで今月はちょっとバタバタしてな…」
先生が仕事の話をするのは珍しい。
「いいよ。会えたもん」
あたしは彰士の手を触った。
先生はちょっと驚いて、そしてにっこりしてあたしを見てくれた。
あたしの手を触る彼の腕に力が入る。
「麗佳のせいじゃないのにな…。ホントごめん」
「そんな謝らなくていいってば」
『先生』からそんなに謝られると、何だかすごくヘンな感じがした。
今日もすごく暑くて、今年も猛暑なんだなって思った。
暑くて……愛しくて……外なんて歩いてる場合じゃなかった。
先生に会えていない時間はあたしはいつも寂しさのベールにすっぽりと包まれてしまって、
「寂しい」という事に対してもう麻痺しているのかもしれない。
オーラが見える誰かがいたとしたら、きっとあたしは湿った暗い色をまとっているんだろう。
「あぁっ、……やぁっ…」
彰士に愛撫されて軽く達したあたしは、今日も彼に貫かれていた。
会えないと声が聞けるだけでも嬉しいのに、会ってしまうと触れたくて…、
触れてしまうと繋がらずにはいられなくなってしまう。
先生から求められているのは感じる。
あたしの体の芯が疼くのも分かる。
そして二人きりで手が、唇が触れ合うと…その行為は始まってしまう。
先生の上になる。
自分で動く姿を見られるのはすごく恥ずかしいのに。
「あっ…」
彰士があたしの膝に手をかける。
「やっ……」
彼の手に力が入る。上に跨ったあたしの脚が開かれていく。
先生を見る。
目が合ってしまう。
不安定な姿勢のあたしは、自分の体の後ろに手をついてしまう。
そうすると上半身が反って、…彼へ向かって更に脚を開いてしまう。
「麗佳に入ってるのが…見えるよ」
彰士が言った。
「やだ……だめっ…」
だけど彼の手の力は緩まない。
あたしは動けないまま、ただ脚を開かれて彼に見られていた。
あたしを見る先生の目は、やっぱり色っぽかった。
きっと彰士の目に映るあたしの姿は、すごいんだろうなって思いながら。
そうしている間も、あたしの体の中の彼の存在は確かにあった。
「あ、あぁ、あっ…」
あたしの脚を抑えたまま、下から彰士が突き上げてくる。
「やぁっ、…うあ、あんっ、ああぁっ…」
やっと彼の手が離れる。
あたしは体を起こす。
だけど彰士の動きは激しさを増してくる。
「う、あっ…、あぁぁっ!」
膝をベッドに着いたら、更に彼のモノを挟む自分に力が入ってしまう。
そして余計に感じてしまった。
「麗佳…」
彰士の少しかすれた声。
薄く目を開けて彼を見た。
あたしの下に、大好きな先生がいる。
そして今、あたしたちはひとつになってる。
「や、あ、あ、あああっ…」
あたしは激しく上で揺られて、
…そして彰士の動きが止まる。
「はぁ…あ……はぁ…」
先生があたしの体をゆっくりと下ろしてくれる。
一瞬抱きしめあって、少しキスされた。
彼はコンドームを掴んで自分のモノをあたしから抜いた。
「はぁ…はぁ……」
あたしはエッチでまだイってなかったけれど、それでも充分満足なぐらい消耗してしまった。
先生はいつも激しすぎるから、これぐらいで終わってくれると少し楽かも…とかちょっと思った。
「彰士……」
起きて色々動き回ってる裸の彼を見ていた。
先生は細いのにガリガリって感じじゃなくって、失礼だけど年の割にいい体してると思う。
…そして裸の彰士を見ると、なんだか恥ずかしくなってしまう。
「っしょっと」
彼がベッドに戻ってくる。
ベッドサイドの照明が、あたしのこんな体でさえもエッチな雰囲気に映していた。
あたしは体を横にしてグッタリしていた。
「あ……ん」
彰士があたしの左足を持ち上げる。
体を横にしたまま、あたしはまた脚を広げられてる。
「………」
彰士は黙ったまま、あたしの脚の間を拭いてくれた。
「いいよ…。自分でするから……」
こんな格好でそんな風にされるのは恥ずかしかった。
「麗佳、すごい濡らしてる」
また、…あたしのそこを見られてる。
「もう、見ないで……。恥ずかしいからっ」
エッチが終わってるのに、こうしてまじまじと見られるのは本当に恥ずかしい。
それにあたしを拭く彼の手の動きは、…いやらしかった。
「拭いても、…どんどん溢れてくるよ」
先生はあたしを見てニヤっとする。
あたしは彰士のそんな意地悪な表情が結構好きだ。
「彰士が、……そういう風に触るからだよ…も、…」
左足は先生に掴まれたままだ。
あたしは彰士にされることを、何故か全然拒めない。
彰士はそういう風にあたしに言う事を聞かせる才能に関しては凄かった。
「あぁぁぁっ……」
(やだ……も……やぁん)
先生はあたしの足を持ち上げたまま、拭いていた手を一旦どけると唐突に指を入れてきた。
「だぁめっ……、今したばっかりなのに……」
「麗佳、イってないだろ?」
(そうだけど……)
あたし的にはイくかイかないかなんて、正直言ってどうでもいい事だった。
先生と一緒に肌をくっつけていられるだけでも、それだけで満足なぐらい。
なのに……。
「くっ、うぅぅんっ」
「ここ、気持ちいい?」
彰士が急に中で指を激しく曲げて、ある部分を刺激してくる。
そこはすごく気持ちが良かった。
「麗佳、……どう?」
彰士がまた聞いてくる。
「……いっ、いい、よ…はぁ…」
「ここ、麗佳が弱いところ」
多分、また彰士はあのニヤっとした笑顔であたしを弄ってるんだろう。
ゆっくりと、その部分を擦ってくる。
「はぁっ、…う、…くっ…」
あたしは左手でギュっと枕を掴んだ。
ゆっくりされても、そこは感じてしまう部分だ。
「…こうすると、……もっといいだろ…」
彰士が更にあたしの足を上へ持ち上げる。
そして中の指をさっきよりも強く動かす。
「はぁっ、…はぁ、あぁ、あぁんっ…」
「もっと気持ちよくなってきた…?」
(あぁ、もう絶対先生やらしいよ…)
わざと聞いてくる彼に、あたしも応える。
「んん……」
あたしは目を閉じたまま、強く頷いた。
「もっと、…よくなろうな」
「う、あぁぁっ!」
音、が……。
あたしの出す音が、部屋に響いてしまう。
その音のあまりのいやらしさに、耳を塞ぎたくなる。
多分わざと先生はそうしてるんだろう。
「あ、あ、…イヤあっ…あぁあん!」
彰士の指が更に激しくあたしの中を掻き混ぜる。
「いいよ……ガマンしないで」
「だめっ…あ、あ、あ…い、いっちゃうよっ…あっ」
(やあん……。また、こんなすぐに…)
彰士の前でガマンなんてできるわけがなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ…はぁ…」
彰士はあたしの足を下ろしてくれたけど、入ってる指はそのままだった。
「あぁんっ…」
そのまま仰向けにされた。
彰士があたしの膝にキスする。
イったばかりのあたしはくすぐったくて、体が震えてしまう。
「あっ?!だ、ダメだよっ…彰士!」
また彰士の指があたしの中を刺激し始めた。
「痛い…?」
「…ううん、痛くは、…ないけど…。だ、ダメだよっ……」
あたしは先生を見て首を振った。
だけど彼はいつもと変わらない優しい目で、あたしを見て言った。
「大丈夫だよ」
また、同じ場所を…さっきより弱く刺激される。
「あぁ、…はぁ、…いやぁ…あっ…」
先生とこういう関係になって、あたしは気付いてた。
あたしは一度イクと、…次、あっという間にイってしまう。
彼がその気になれば立て続けにイかされてしまうだろうなって気はしてた。
ただそうされるのは…怖かった。
「やだっ…あぁっ…あぁっ…」
(ダメ……うそ……うそでしょう…また…あぁ…)
「うぅ、あぁぁんっ!イヤっ…んあっ、…くぅっ!」
あたしは肩で息をしていた。
下半身が変になってしまいそう。
そのうちおしっことか、漏れちゃうんじゃないかと思う。
感覚がおかしくなってくる。
「はぁはぁ…はぁ…はぁっ…」
彰士はまだ指を入れたまま、あたしの体に覆い被さってくる。
「も……許して…ダメですっ…」
先生に言うみたいに、彰士に懇願する。
「そういう麗佳……余計そそる…」
小さな声で耳元で囁かれた。
多分、…先生ってすっごくエッチなんだと思う…。
あたし、体力が付いていかないよ…。
「ホントに…ダメだよっ…」
あたしは焦って彰士の肩を掴んだ。
でも全然力が入らない。そのうち腰も抜けちゃうんじゃないだろうか。
「麗佳は、…ここも、感じるんだよ」
「あああんっ!」
彰士はあたしの乳首を舐めながら、あたしのもっと奥まで指を入れてきた。
そこ…ダメ…触ったらダメ……。
さっき触られた部分よりも、もっとずっと強烈に感じてしまうところだ。
「麗佳の、ホントの入り口」
その周りを…どういう風に触っているのか分からないけど、
本当に体の芯を弄られてるっていう感覚だった。
「ダメっ!…あ、…もう、…ダメですっ…お願いぃ…」
あたしはちょっと泣きそうになってたと思う。
だってこれ以上されたら、…ホントにおかしくなっちゃいそうだから。
「もう…麗佳の反応はいちいち最高…」
彰士がやっと指を抜いてくれた。
「はぁ…はぁ…もぅ…」
あたしは恨めしそうに彰士を見た。
ホントに涙ぐんでたと思う。
「麗佳は……」
彰士があたしの横に寝転がる。
「凄く男を高ぶらせる女だな…」
そう言って、あたしの瞼を舐めた。
その言葉、ひっくり返して彰士に返したい。
「バカ……」
あたしは言った。そして手を彰士の顔にかざした。
彼があたしのその手をとって、ゆっくりと自分の方へ引き寄せる。
「………全部、麗佳のせいだから」
そう言いながら、彰士は自分の場所へあたしの手を導いた。
「……」
暗かったけど、あたしは確実に赤面してた。
触った彰士のものは、もうしっかり固くなってたから。
その後またすぐに、……あたしは彰士にやられてしまった。
今日ばっかりはホントに、「やられる」って表現がピッタリだと思った。
彼と別れてあたしが電車に乗ったら、珍しく先生からすぐにメールが来た。
『激しくしてごめん。
でも今日は、3日分だから』
「…………」
電車の中であたしは一人で真っ赤になってしまった。
やっぱり…ちゃんと3日間、ゆっくりして会えた方がよかったよって思いながら、あたしはフラフラになって家路に着いた。