ビター(夢色続編) |
CLOSE4 ☆☆ いつか見た夢 ☆☆ |
(あっ…) 目が覚めて、一瞬自分がどこにいるのか分からなかった。 麗佳が顔を上げると、すぐ目の前に輝良の顔があった。 (あぁ…そうだっけ…) 輝良の裸の腕がしっかりと麗佳に廻されていた。 (昨日、そのまま寝ちゃったんだ…) 部屋は寒かった。 麗佳は手を伸ばして、枕元の上にある収納に乗っていたエアコンのリモコンを取ってスイッチを入れた。 足の間がベトベトしていて、気分が悪かった。 (シャワー、借りちゃおうっと…) 麗佳が動くと、輝良の腕に力が入る。 「うぅ…」 輝良が目を開けた。 「あ、…起こしちゃった?」 起こしかけていた体を、麗佳はまた輝良の腕の中へ戻す。 「麗佳…」 「…………」 お互いの唇が触れる。 輝良はしっかりと麗佳を抱きしめた。 「んん……」 朝から濃厚にキスされる。 (やだ…ちょっとぉ……) 輝良は左腕で麗佳をしっかりと抱きながら、右手を麗佳の足の間へ滑らせる。 「や、…やんっ…」 「麗佳ぁ…」 輝良の指が麗佳のそこに触れる。 そしていやらしく動き始める。 「…ちょっ、ちょっと、…ヤっ」 「『ヤ』って…、何で朝からこんなに濡れてんの?」 輝良は本当に驚いた顔で麗佳を見た。 「だって、…昨日、…あんな風にしたから……」 「昨日ー?昨日で、今朝、こんな??」 輝良は麗佳の顔を見ていた。 「あぁんっ!やだって!」 麗佳は嫌がる。 「………」 輝良はもっと奥、麗佳の入り口を探す。 そこは愛液が溜まっていて、すぐに輝良の指は麗佳に飲み込まれてしまう。 「あぁぁんっ…!」 麗佳の眉間にシワがよる。 (たまんない顔、するなぁ……) 輝良は麗佳に再びキスした。 「んんっ、…んっ…んんっ…」 麗佳はがっちりと輝良に抱かれて動けないまま、中に入れられた指の動きを感じた。 唇まで彼の唇でしっかりと塞がれている。 (あぁん、…朝から……もう…) もう感じ始めてしまう自分が情けなくなる。 昨晩焦らされるように愛撫された余韻が、まだ体のあちこちに残っていた。 (やだ…やぁん……) 「麗佳……もう、超…好き…」 「や、……テル…もぅっ…」 輝良に囁かれて麗佳は嬉しかったが、体はどんどん官能の方向へ反応してしまう。 麗佳が二度目に目覚めたとき、もう2時を回っていた。 (あーあ……) 朝に起きたときよりも輝良の腕は緩んでいた。 裸の彼の腕の中から、そっと体を抜いていく。 (起こしちゃうとまた襲われそうだから、先にシャワー入ろ) 麗佳がシャワーを浴びて浴室から出ると、輝良はTシャツにスウェット姿で 昨晩コンビニで大量に買っていたおやつを何か食べていた。 ボサボサの頭で寝起きでも、彼はそれなりにかっこいいなと麗佳は思う。 「さすがに、ハラ減ったな」 「…そうだよ…」 麗佳はバスタオル1枚でいた。 輝良はそんな彼女の姿を見て、嬉しくなってくる。 「オレも、シャワー浴びよっと」 彼は立ち上がり、通りすがりに麗佳を引き寄せて軽くキスした。 「………」 自然なキス。 「麗佳、すっぴんでも全然変わらないな」 輝良はそう言って少し微笑んで、浴室へ向かった。 (なんか…) 麗佳は浴室の音を聞きながら、自分の服を手にとった。 (『ラブラブ』…って感じじゃない?) 無意識に麗佳も微笑んでしまう。 出かけるばっかりの状態で、麗佳は輝良が髪型を整えるのをベットに座りながら待っていた。 自分がこの場所にいるのがなんだか不思議だった。 それなのにそれが当たり前のように感じられる。 「…お待たせ」 洗面所から出てきた輝良は、いつも外で見るバシっとした今風のいい男だった。 (やっぱ、かっこいいなぁ…) 麗佳は改めて感心した。 「んじゃ、行こ」 立ち上がろうとしたとき、輝良が麗佳の肩を抑えた。 「えっ、…何?」 「化粧すると、また一段と可愛いよな…」 「…ちょ…っと…」 昨晩からもう何度したか分からないキス。 輝良が軽く力を入れると、麗佳はベットに押し倒されてしまう。 (…やだ……この流れは…) 「テ、テルっ、…ちょっと!」 「麗佳ってさ、冬でも生足なんだな」 素足に黒いハイソックスをはいている麗佳の足に、輝良の手が触れる。 「ええっ!」 麗佳が抵抗する間もなく、輝良は麗佳の足を持ち上げ、ショーツを太ももの途中までずり上げる。 「やっ、…やあだぁっ、…もう、…出かけようよっ」 「……ふうん」 輝良はそう言って、麗佳のそこを触る。 少し触られただけで、麗佳はビクっとなってしまった。 「やだやだ、…もうっ、テルってば!」 ただその部分だけ肌をさらしている自分の格好が、恥ずかしくなってくる。 「出かける…?」 輝良は麗佳の穴をすぐに探し当て、そして指を侵入させる。 「うっ…」 麗佳は小さく声をあげてしまう。 (やっ、やだ……もうー…) 両足を閉じたまま上に持ち上げられて、輝良に指を入れられてしまった。 「やぁんっ…」 足の力が緩むと、輝良に片足だけショーツを外される。 彼は麗佳から指を抜いた。 (えっ…?えっ…?) 麗佳が一瞬隙を見せると、輝良が麗佳の両足を開いた。 ……つぷっ… 「い、やぁぁぁんっ!」 「簡単に入っちゃったけど?」 ゆっくりと奥まで、輝良は入っていく。 掴んでいた麗佳の足を放して、体を重ねた。 彼は動かずに、麗佳の深いところで自分を刺したままにした。 「やだ……うそ…」 「…ウソじゃないよ、…入ってるだろ?」 輝良は麗佳の髪を撫でた。 そしてキスする。 (ヤダ……また…しちゃうの…?) 服を着たまま抱きしめあう。 輝良はそこを動かさない。 麗佳は時々力んでしまい、無意識に彼のモノを締め付けてしまう。 その生々しい感触が、それだけで麗佳を感じさせた。 「もう……きりがないよ…」 麗佳は泣きそうになりながら、輝良に言った。 「お前が誘うから」 繋がったまま、輝良は麗佳の頬にキスしながら言う。 「…誘ってないじゃんっ…んん…」 麗佳は輝良の肩を掴んだ。 「……誘ってるよ」 驚くほど男の声で、輝良は麗佳の耳元で言った。 麗佳は、普段は優しい彼らしくないその声にゾクゾクしてしまう。 「違うっ…」 離れたくても離れられなかった。 輝良はしっかりと麗佳の奥まで入っていた。 「抜こうか?」 輝良は腰を引いた。 そしてまた麗佳の中にゆっくりと戻す。 また腰を引く。 ゆっくりと戻す。 「あぁ、…あぁんっ…」 (色っぽい声、出すんだな…) 輝良は、服を着たまま顔を歪める麗佳を見つめた。 (充分誘ってる、っての……) 麗佳の唇を舐める。 (さっきから、すごい締め付けてくるし……) キスしながら、輝良も息を吐いてしまう。 (すごい濡れてるし…) 輝良は更に麗佳に舌をからませる。 「もう、…やだぁ……」 唇を離して麗佳が言った。 「…抜く?…もうやめる?」 答えが分かっていて、輝良は言う。 「……意地悪……」 麗佳が輝良を見た。 (この表情……) 輝良は動かしたくてたまらなくなってくる。 「……じゃ、いいの…?」 それでも輝良は改めて聞く。 背中に回った麗佳の腕に力が入った。 「うん……」 「もう、……テルの馬鹿…」 右の足首に残った自分のショーツを見て、麗佳はため息をついた。 「オレのせい?」 すぐにきちんと服を戻して、涼しい顔で輝良は答えた。 「……もうヤだ……」 一方的に犯された後みたいになってる自分が、麗佳は恥ずかしくてたまらなくなる。 「シャワー入ったのに…」 麗佳は自分の格好を整える。 ショーツだけをとられてそのままの着衣でされていたので、麗佳もすぐに普段の姿になる。 放心している麗佳の隣に、輝良は座った。 「……怒った?」 「怒るよ…」 麗佳は拗ねた。 「ごめんな」 輝良は麗佳の肩に腕を廻す。 「………もう、…テルのばか…」 麗佳も輝良に腕を廻した。 「はぁ……」 麗佳がため息を漏らす。 「ホントに、キリがないよな…」 輝良が唇を離して言った。 「…出かけようか」 「うん」 麗佳は笑った。 輝良は麗佳の手をとる。 二人は部屋を出た。 「明日、何してる?」 麗佳の家へ帰る途中、ファミレスに寄った。 輝良はもう食べ終わって、コーヒーに手を伸ばす。 麗佳はまだ半分も食べていない。 「明日は、バイト。最終日」 「バイトって、おれんちの近くだよな。その後は?」 「なんか、忘年会っぽいのがあるみたい」 麗佳はパスタにタバスコをかける。 「なあ、さっきかけてなかったっけ?」 輝良は眉を潜めて麗佳を見た。 「かけ足りなかったから」 「お前、絶対早死にするぞ。やめろよ。ちょっとは加減しろよ」 麗佳の前にあったタバスコを、輝良は自分の方に寄せた。 不満げに麗佳は輝良を見て、食事を続ける。 「あぁ、そうそう、話の続き、…じゃその後オレんち泊まる?」 ニコニコしながら輝良は言った。 「えーー、だって、昨日の夜泊まったばっかりじゃん」 信じられない顔で、麗佳は彼を見た。 「いいじゃん。…忘年会で遅くなるって言えば。お前んち遠いんだし」 「えー…親にそんなコト言う度胸が……」 「…やっぱ、ダメかなぁ」 露骨に輝良がガッカリする。 そんな様子を見ると、麗佳も思わずまた側にいたくなってしまう。 「……もー分かった…じゃあ、言うだけ言ってみる…」 仕方なくそう言ってしまう。 (あー親になんて言おう…今日だってこれから帰るのも気まずいのに…) 輝良の顔が明るくなるのを感じた。 (しょうがないなぁ…) 麗佳はそんな輝良を憎めなかった。 「でさ、忘年会は…出るの?」 さらに輝良は言ってきた。 「い、一応出るつもりでいたけど…」 「会社内での、『バイト』なんだろ。麗佳」 「そうだけど…」 「絶対出ないとダメなのか?っていうか、麗佳めっちゃ参加する気満々とか?」 ニヤニヤして輝良は麗佳を見た。 「…そういうわけじゃないけど…」 麗佳はちょっと困って言った。彼の言いたいことは分かっていた。 「ふーん…」 輝良は意味ありげに頷くと、近くの店員を呼びとめてコーヒーのおかわりを頼んだ。 「じゃあな、麗佳…」 「うん」 「また明日」 「ん……」 麗佳の家の近く、車の中で輝良にキスされた。 「………」 昨日からさんざんしているのに、麗佳は何故だか照れてしまう。 「オレ……」 「?」 真っ直ぐ前を向く輝良を、麗佳は見た。 「ずっと、こうしたかったんだ……助手席の麗佳と」 「………」 麗佳は今までに何度も輝良に送ってもらっていた。 改めてこう言われると、これまでの彼の気持ちを考えて急に切なくなってくる。 「…ありがと、テル」 「…いいや…」 輝良は首を振った。 「それじゃな」 「うん、……また明日」 車から降りて、麗佳は笑顔で輝良に手を振った。 (『また、明日』か……) 彼の車が行ってしまうのを見送った。 (なんか…嬉しい…) 麗佳は明るい気持ちになって、家に入った。 「ただいまぁ」 すぐに弟の部屋へ向かった。 「うぉっす、エロ姉キ」 ゲームをしていた祐一が、ニヤニヤして麗佳に振り向いた。 「……(『エロ』って)…」 麗佳はみるみる顔が赤くなっていく。 そんな露骨な姉の表情を見て、祐一は逆に困ってしまう。 「高校生には刺激が強いって」 「……き、昨日は、…お母さんに何て言った?」 しどろもどろになりながら、麗佳は言った。 「女友達の家でクリスマス会するから、って言っといた。大丈夫だよ。うちの親鈍いから」 (いい弟だ…) 麗佳はほっとする。 「ありがと…祐一…。って、なんでテルと交流があるのよ?」 昨日からそれが気になって仕方がなかったのだ。 「麗佳、テルさんと付き合うの?」 祐一が立ち上がる。麗佳よりダイブ背が高い。 「う、…うん…」 祐一に急にマジ顔になられて、麗佳は一瞬ひるむ。 「テルさん、いい人なんだからさ、…お前絶対傷つけるなよ」 「はぁ?」 意外なことを弟から言われて、麗佳はちょっとビックリする。 「普通、逆じゃん?それ、弟としてテルに言ってよ」 結局、輝良と祐一の関係をごまかされたまま、麗佳は自分の部屋に戻った。 その夜は早々にベッドに入った。 昨日、今日と輝良に抱かれすぎて、麗佳はぐったりとしていた。 (ああ、明日泊まるって、親に言わないとなぁ…) 麗佳は言い訳を考える。 (まあいいや…明日言おう…) 麗佳は目を閉じた。 ここのところ眠れなかったのがまるで嘘のように、一瞬で眠りに落ちた。 |
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